連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。
私立小学校の教育費は公立の4.8倍!
子供が生まれると教育費の準備が気になりはじめます。「この子に、これからいくらの教育費がかかるか?」をあらかじめ把握することは、家計を運営する上でとても重要です。
文部科学省が発表している2014年度の「子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までの教育費は、以下の通りです。
「子供の学習費調査」(2014年度 文部科学省) ※筆者が加工して作成/※「学校教育費」: 授業料、修学旅行、PTA会費、教科書費等、通学費、制服など/※「学校外活動費」: 学習塾費、家庭教師費、習い事費など |
あくまで平均的な金額ですが、これを見れば、子供の教育に毎年いくらくらいかかるかをイメージすることができます。
公立に比べ、私立の教育費は高額です。私立幼稚園は公立の2.5倍、小学校は4.8倍、中学校は2.8倍、高校は2.4倍となっています。私立の場合、幼稚園は1年間で約50万円、小学校は130~190万円、中学校は120万円~160万円、高校は80万円~120万円が必要になります。
「子供にどんな教育を与えるか?」は本人の希望も大きな要素になりますが、最も大切なことは「教育費を負担する親がどう考えるか?」でしょう。子供の教育費を確保するために老後の資金準備ができなければ、年老いてから子供の援助を受けざるをえなくなるかもしれません。
人生の3大資金と言われる「教育資金」「住宅資金」「老後資金」を長期的にうまくバランスをとらなければなりません。何かひとつに偏り過ぎると将来やりくりがたいへんになる可能性があります。なお、親の教育費負担を軽減する方法としては「ある時点からは奨学金を受ける」ことも選択肢のひとつでしょう。
高校までの教育費は収入の中から出す!
子供ができたときに多くの人が学資保険への加入を考えますが、学資保険のように長期的に時間をかけて準備する教育資金の主な用途は、大学の教育費です。積立貯蓄も同様です。なぜなら、大学に進学するためには受験料、旅費、新生活準備費用、入学金、授業料など、多額な費用がかかり、すぐに準備するのが困難だからです。
高校までの教育費は、手取り収入の中から出しても、毎年の収支が赤字にならないようにしなければなりません。赤字にしないばかりでなく、大学教育費の準備のための貯蓄もしなければなりません。
たとえば、子供を中学校・高校で私立学校に通わせたい場合、「2014年度 子供の学習費調査」を見ると子供1人つき目安として100万円~150万円の教育費がかかることがわかります。このとき「手取り収入から1年で子供1人当たりこの金額を教育費に使っても、暮らしが維持でき、さらに老後資金の準備や住宅ローンの繰り上げ返済のために貯蓄もできるか?」を考える必要があります。
実際にかかる教育費は、都会か地方か、どんな習い事をさせるかなど、個々の世帯で異なるでしょうが、大まかなイメージはつかむために、上の表を活用してみてください。
※写真と本文は関係ありません
執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)
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