連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。
住宅ローン「変動金利タイプ」の金利は以前からすでに1%未満の低水準
日本銀行は1月29日、一段の金融緩和策としてマイナス金利の導入に踏み切ると発表しました。その影響で、市場金利が下落しています。
住宅ローンの金利も低下傾向を示しており、これから住宅を取得しようと考えている方はもちろん、現在返済中の方が金利タイプを切り替える場合も、ここしばらくは絶好のチャンスになるかもしれません。
マイホームを取得するときに住宅ローンを固定金利タイプで借りた人の中には、その後の長引く低金利のなかで、変動金利タイプに切り替えた方が相当数いらっしゃるのではないでしょうか。市場金利の水準は同じくらい低くても、かつての変動金利タイプは1%を上回るものばかりでした。
しかしその後、銀行間の金利引き下げ競争が激しくなったこともあり、近年は1%を下回るのが当たり前になっていました。返済中の固定金利タイプとの金利差が開いたことで、変動金利タイプの魅力が高まったことが切り替えの理由として考えられます。
今回の日本銀行の「マイナス金利」の影響で、変動金利タイプは今後も下落する可能性があります。しかし、すでに0.6~0.7%くらいまで下がっていた金利の今後の下落幅はあまりありません。
また、変動金利タイプの金利は、住宅ローンの返済が終わる15年後や20年後、あるいはそれ以上の長期間、低いままの水準を保っているとは考えにくいでしょう。変動金利タイプは、市場金利が上がると上昇し、いずれ返済額が増えて家計を圧迫する可能性があります。
固定金利タイプの金利が下がれば、変動金利タイプから切り替えのチャンス!?
住宅ローンの固定金利タイプの指標となる長期金利(代表的なものは新発10年国債の利回り)は、日本銀行の「マイナス金利」の影響で、それまでの0.2%台から一気に下がり、2月4日には0.05%をつけました。
ただ、日本銀行の発表が月末の1月29日だったこともあり、多くの金融機関が公表している2月の住宅ローン金利には、まだ今回の市場金利下落の影響が反映されていません。
2月の市場金利がこのままの低い水準で進んでいくと、3月の住宅ローンの金利は一段と下がる可能性があります。
いずれにしろ、史上最低の金利水準になることが予想される今こそ、「変動金利タイプ」で住宅ローンを返済中の方は「固定金利タイプ」に切り替えて、将来市場金利が上がっても返済額が変わらないよう手を打ってはいかがでしょうか。
※写真と本文は関係ありません
執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)
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