連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


土地には消費税はかからない! 建物も個人から買うとかからない!

現在の消費税率は8%。2017年4月からは10%へのアップが予定されています。

消費税率のアップは、物価の上昇を伴うため、私たちの消費生活を直撃します。

特に住宅や自動車など高い買い物をする場合は、消費税の額もバカになりません。なお、住宅について言うと、土地の売買は非課税取引なので消費税は課税されませんが、建物をハウスメーカーや工務店、マンション業者、不動産会社から買うときは課税されます。

たとえば建物の価格が2,000万円の場合、消費税額は税率8%だと160万円、10%だと200万円となり、家具や家電などを一式揃えることができるほどの金額になります。

ただ、建物を一般個人(事業として販売している個人事業主を除く)から買う場合には、消費税はかかりません。なぜなら、消費税は「事業者が事業として行う取引」が課税対象になるからです。

一般個人が自分の自宅を、転勤や住み替えなどの理由で売却する場合は、「事業者」でも「事業として」でもないために消費税はかからないのです。

今後、消費税率が高くなって税負担が重くなると、マイホームの取得を考える人々の間に、中古物件を個人から購入しようというニーズが高まることが予想されます。また、中古物件は、築浅の物件でも、広告宣伝費などが上乗せされていない分、新築物件より一般的に価格が割安です。さらに、都市部では、中古のほうが利便性の高い物件を見つけやすい傾向もあります。

不動産仲介手数料やリフォーム代がかかる!?

ただし、個人から住宅を買うときには、ほとんどの場合、不動産会社に仲介を委託し、希望に添った物件を探してもらうことになります。そして成約したときには不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

仲介手数料は法律で上限が定められており、400万円を超える物件の場合、計算式は以下の通りです。

土地代・建物代の合計が3,000万円の物件の場合、

(3,000万円×3%)×1.08%(1.10%)、

つまり、仲介手数料の上限は、97.2万円(99万円)になります。

また、中古物件では購入時にリフォームが必要な場合もあります。築年数などにもよっては壁紙の貼り替えや、キッチンやお風呂、洗面など水回りの設備の更新をしたほうがいいかもしれません。

住宅税制も、消費税がかからない物件は、かかる物件よりも優遇幅が小さくなっています。

たとえば、「住宅ローン減税制度」の1年間の減税額は、消費税率8%や10%の物件だと最大で40万円ですが、消費税のかからない物件は20万円になります。

このように、マイホームを購入する場合は、事業者から買うか個人から買うかで、消費税の有無のほか、手数料、リフォーム代、税制優遇の規模などが異なります。ハウスメーカーや不動産会社等からもれなく情報を得て、しっかり比較・検討して納得の物件を取得したいものです。

(※写真画像は本文とは関係ありません)

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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