連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。
フルタイムの共働きサラリーマン夫婦が陥りやすい「どんぶり家計」
ともにフルタイムで働いている子供のいない夫婦は、世帯収入が比較的多く、家計にゆとりが生まれやすいため、「どんぶり家計」に陥りやすい傾向があります。
【フルタイム共働き夫婦の家計チェックリスト】
上のチェックリストで3つ以上「いいえ」がある夫婦の家計は、「どんぶり家計」だと言ってもいいでしょう。
20代から30代の子供がいない共働き夫婦は、家計にゆとりがあるために、浪費クセが身について、「家計の生活習慣病」にかかっているケースがしばしば見受けられます。
「貯蓄はパートナーの役割」だと勝手に思い込んでお互いが散財し、世帯としてさっぱり貯まっていないという場合もあります。
フルタイムでの共働きをいつまでも続けられるとは限りません。いずれは健康上の問題や両親との関係で、どちらか一方が離職せざるを得なくなる場合もあります。お互いの転勤の影響などもあるでしょう。離職後に職を得ようにも、収入の低いパートタイムの仕事しか見つからないかもしれません。
ともにフルタイムでずっと働き続ける気持ちがあっても、子供ができて夫婦どちらかが時短勤務になり収入が減れば、家計は厳しくなります。それでも、今後子供にかかる多額な教育費の準備をスタートしなければなりません。
マイホームの購入を検討する時期も来るでしょう。長期間にわたる住宅ローンの返済を、他の支出とバランスをとりながらムリなく行っていくには、十分な頭金の準備が欠かせません。
将来安心できる家計を作る5つのステップ
「家計の生活習慣病」対策は、早くスタートすればするほど成果が伴い、将来の安心につながります。
【ステップ1】現状把握と現状分析から
筋肉質の家計を作るには、まず、現状の把握と分析が必要です。
お互いの現在の貯蓄額を確認し合いましょう。そして、貯蓄が計画的に行えているのかもチェックしましょう。毎月の給与やボーナスから積み立てて貯蓄ができている場合は計画的に行えていると評価できます。しかし、毎月余ったお金が自然に貯まっている場合は、行き当たりばったりな貯蓄のやり方になっているので、改めなければなりません。
現在の収入も確認しましょう。夫婦の間に収入差があるでしょうから、生活費負担の役割分担ルールをどうするかを考えたり、見直したりする必要があります。
このルールがあいまいだと、貯蓄ができない言い訳に使われる恐れがあります。負担の役割分担ルールははっきりと決めておきましょう。
趣味への支出額や洋服の購入費、飲食費など、その他のお互いの支出も、できれば費目ごとの合計額でいいので確認し合うといいですね。
そのためには、夫婦それぞれが、家計簿をつけておく必要があります。
家計簿があれば、支出の分析を詳細に行うことができます。なにが必要でなにがムダであるかどうかがわかれば、お金の使い方を効果的に見直しをすることが可能になります。
(次回に続く)
(※写真画像は本文とは関係ありません)
執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)
ファイナンシャルプランナー(CPF認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)
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