連載コラム『公認会計士直伝! お金に振り回されない生き方』では、公認会計士の平林亮子氏が、公認会計士としての仕事をする中で分かってきた"お金との上手な付き合い方"について、マイナビニュースの読者の方々に"伝授"します。
"消費税増税による影響"を少し掘り下げて考える
4月から消費税が8%になりましたが、みなさんの周囲にその影響は表れているでしょうか。
私自身はあまり変化を感じていませんが、企業の業績の明暗は分かれたようですね。
報道によれば、ユニクロの4月の既存店売上高は、前年同月比3.3%増。
一方、三越伊勢丹の4月の売上高(速報、外商を除いた既存店ベース)は前年同月比7.9%減とのこと。
そもそも、ユニクロと三越・伊勢丹では売っている商品が違いますから、単純に比較できるものではないでしょう。それでも敢えて
「どうしてだろう?」
と考えてみることに意味はあると思います。
そもそも、高価な商品ほど3月までの駆け込み需要と4月以降の反動があると予想されていました。三越・伊勢丹が少し高価な商品を扱っていると考えれば、まさにその通りの結果を示していると言えます。
実際、3月の全国の百貨店の売上高は、前の年の同じ月を25.4%も上回ったそうです。3月の駆け込み需要分で4月の落ち込みを十分にカバーできると考えられますから、5月以降の動向を見守る必要がありそうです。
また、三越・伊勢丹といっても、店舗はいろいろあります。実は、三越銀座店に限ってみれば4月の売上は前年同月比1.1%増とのこと。外国人観光客による免税売り上げが93%増と大幅に増加したことが一つの理由だそうです。
なるほど、外国人による免税商品の購入であれば、消費税増税の影響を受けないわけですよね。消費税は「国内の消費」に対して課せられる税金ですから。その上、一時期に比べて大幅に円安となっています。増税の中にも、十分なチャンスがあるということに気づかされます。
弊社は銀座にオフィスを構えておりますが、東日本大震災後、街を歩く人が少なくなったと感じていました。ところがここ1年くらい、大震災以前を上回る外国人観光客を見かけるようになりました。ヨーロッパからの観光客(と思われる方々)も増えたと思います。
消費税増税による影響を少し掘り下げてみるだけで、グローバルな視点につながったり、身近な風景との関連が見えてきたりして、明日からの街歩きがまた楽しくなりそうです。
世界はつながっている
ところで、外国人観光客が日本で買い物をするのと同様に、日本人も海外で買い物をすることができます。売る立場であっても買う立場であっても、世界中のマーケットを相手にできるということです。
また、今に始まった話ではないですが、「お金」という道具とインターネットなどの通信インフラの充実によって、時間も空間も簡単に飛び越えることができるようになりました。一消費者であっても、ネットショップで海外の商品を簡単に買うことができますし、海外の企業に投資することもできます。
お金はデータとして簡単に運ぶことができ、為替レートという"翻訳技術"によって他の国でも簡単に使うことができます。
世界中のマーケットから、自分の欲しいモノを買うことができる時代。
これは逆に言えば、自分の欲しいモノが何なのかさえわからなくなるくらいの巨大なマーケットと向き合わなくてはならないということ。
一方で、使える金額は限られています。
そう考えると、お金に関して知っておくべきもっとも重要な情報は、
「自分が本当に欲しいモノは何か」
という問いに対する答えです。
そしてその答えは、自分と本気で向き合い続けることで見つかるのではないかと思います。
執筆者プロフィール : 平林 亮子
公認会計士。「美人すぎる公認会計士」としてTVやラジオ、雑誌など数多くのメディアに出演中。お茶の水女子大学在学中に公認会計士二次試験に合格。卒業後、太田昭和監査法人(現・新日本有限責任監査法人)に入所。国内企業の監査に多数携わる。2000年、公認会計士三次試験合格後、独立。企業の経営コンサルタントを行う傍ら、講演やセミナー講師など多方面で活躍。テレビの情報番組のコメンテーターを始め、ラジオ、新聞、雑誌など幅広いメディアに出演している。