連載コラム『公認会計士直伝! お金に振り回されない生き方』では、公認会計士の平林亮子氏が、公認会計士としての仕事をする中で分かってきた"お金との上手な付き合い方"について、マイナビニュースの読者の方々に"伝授"します。
「投資」に関するイメージは?
先日、やっとNISAの口座が開設されました。
必要書類を提出して待つこと約1カ月。
この口座で購入しようと思っていた株を手に入れることもでき、ほっとしています。
ご存知のことと思いますが、NISAとは、少額投資非課税制度のこと。この口座で投資をした場合には、株式を売買して得た利益や配当金に対して税金がかかりません。
NISA口座に対して、いろいろ批判もありますが、せっかく非課税になる制度が作られたので、使ってみることにしました。
ところで「投資」というと、とても危険なものだと思っている方がまだたくさんいるようです。みなさんはどんな印象をお持ちでしょうか。
なお、投資という言葉も色々な意味を持っていますが、以下、「投資=株式投資」ということにして話を進めてまいりますね。
私は2000年頃から投資をしています。詳細については触れずにおきますが、少しだけ儲かっているかな、という程度です(笑)
公認会計士だから詳しいだろうと思われそうですが、実は、公認会計士と投資って、近いようでもっとも遠い関係にあります。
公認会計士は株を発行している企業に対して意見を述べる立場にあります。そのため、適切な意見を述べるためにも企業に対して独立した関係を保つ必要があり、自由に株を売買することはできません。まったく投資ができないわけではないものの、実際には難しいのです。
そのため、投資をするには、そういった仕事をしていない公認会計士であることが必要で、投資と公認会計士は遠い関係にあるのです。
株主は色々な権利を持っている
さて、話をもとに戻しましょう。
そもそも、株を発行している企業、つまり株式会社は、株を発行して資金を集め、経営をしています。お金を銀行から借りることもできますが、借りたお金は返さなくてはならないのに対し、株を発行して集めたお金は、返済の必要はありません。
株と引き換えにお金を出すことを出資、出資した人を株主と言います。出資した分を企業から返済してもらうことは、原則としてできませんが、株主は色々な権利を持っています。社長を選任する権利も株主にあります。つまり、投資をするというのは、出資によってその権利を手に入れることに他ならないのです。
そう考えると、いったい何が危険なのでしょう?
株主が追加で負担をしなければならない事態は生じない
気になるのは、
「出資したお金は原則として返ってこない」
というところでしょうか。
確かに、その危険はあります。ただし、それ以上でもそれ以下でもありません。企業がどんなに多額の借金を抱えて倒産したとしても、株主が追加で負担をしなければならない事態は生じないのです。
なお、出資した以上の負担がないことを「有限責任」と言います。自己資金で出資したのであれば、出資額を超えて損をすることはないのです。
一番のリスクは「何がリスクなのかわかっていないこと」
投資のみならず、生きていれば色々な危険(以下「リスク」という)がつきまといます。失敗するとか、損をするとか、騙されるとか。
でも、実は、一番のリスクは
「何がリスクなのかわかっていないこと」
だと言えるでしょう。
何がリスクなのかわかってしまえば、大したリスクじゃないことが世の中にはたくさんあるような気がします。
執筆者プロフィール : 平林 亮子
公認会計士。「美人すぎる公認会計士」としてTVやラジオ、雑誌など数多くのメディアに出演中。お茶の水女子大学在学中に公認会計士二次試験に合格。卒業後、太田昭和監査法人(現・新日本有限責任監査法人)に入所。国内企業の監査に多数携わる。2000年、公認会計士三次試験合格後、独立。企業の経営コンサルタントを行う傍ら、講演やセミナー講師など多方面で活躍。テレビの情報番組のコメンテーターを始め、ラジオ、新聞、雑誌など幅広いメディアに出演している。