特集「新入社員マネーA to Z」では、新入社員の皆さんにお伝えしたいお金の話をリレー形式でご紹介します。
日本ではメジャーな月給制、マイナーな年俸制
採用情報の給与条件などで「年俸○万円」という表記を目にしたことはありませんか? 日本では多くの企業の給与形態として「月給制」が普及していますが、近年はグローバル化の影響を受けて「年俸制」を採用している企業も増えてきています。
日本ではまだ馴染みの薄い年俸制とはどのようなものなのか、月給制とどのように違うのか、今回は月給制と年俸制の概要と、そのメリット・デメリットについて紹介します。
月給制と年俸制どっちが多い?
マイナビ編集部が2017年11月に調べたアンケートによると(マイナビニュース会員の501名が回答)、現在の給与体系は月給制という回答が92.2%と多数派で年俸制という回答はわずか7.8%と少数派でした。成果主義社会のアメリカでは年俸制が一般的という印象ですが、日本では年俸制より、月給制の方が多数を占めているというわけです。
また、選べるとしたらどちらがいい?というアンケートにおいても、月給制の方が81.4%と多数派で、まだまだ日本での年俸制の普及度は低く、年俸制を好意的に捉えている人が少ないということがわかります。
月給制と年俸制、それぞれの違いは?
では、月給制と年俸制の違いは何でしょうか?
簡単にいうと、年俸制は1年間に支払われる給与額が決まっているので、毎月の額もその年俸額を12分割や16分割の額となり、毎月固定型であるということに対し、月給制は、毎月の基本給に一定の手当が付くので、毎月一定ではない変動型になり、残業代やボーナスの有無によっても1年間に支払われる給与額も変わってきます。
固定型の年俸制は、成果主義を基礎として生まれた給与形態なので、1年間に支払われる給与額が決まっています。仕事の成果や個人の能力によって金額が決まることが多いようですが、給与は労働基準法で「毎月1回以上の支払いの原則」が定められています。
ですから、1年間の給与額が一括で支払われるわけでなく、年俸額を12分割して毎月固定額を支給するケースや、16分割して2カ月分の金額を夏季・冬季の賞与であるボーナスとして支給するケースがあります。残業代はみなしである程度含んだ形で設定されている場合が多いようです。
変動型の月給制は、毎月の基本給に残業代などの一定の手当が付くので、その月によってももらえる額がバラバラで給与額は毎月一定ではないということになります。とはいえ、基本給は毎月変わらず一定です。基本給の金額に特に影響しやすいのは、その社員の年齢や勤続年数で基本給は年功序列で決まってくることが多いです。この基本給に加えて、残業代やボーナスの有無・その金額によって1年間に支払われる給与額は変わってきます。
月給制のメリット・デメリット
それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
月給制のメリットは、変動型であるため、仕事の繁忙期などは残業代や手当が反映されやすく、直近の月々の仕事の頑張りがすぐに反映されるという点にあります。毎月の給与額は月給制の方が低いですが、ボーナスがもらえるため、会社の業績によってはボーナスの額が増えたり、臨時ボーナスがもらえたり、ボーナスでの年収額の加算や毎月の赤字をボーナスで補填できるといった、ボーナスに期待できる点もメリットといえるでしょう。
また、基本給が年齢や勤続年数に応じて年控序列で定期的に給与額が上がっていくということも月給制のメリットの1つであるといえるでしょう。また、専門性の高い技術を持っている人はその分、基本給や手当も高くなります。
一方、月給制は毎月もらえる基本給は保証されていますが、毎月もらえる給与額は一定ではないため、休日が多い月などは給与額が下がってしまう傾向にあります。毎月もらえる基本給は保証されているので安定した収入は見込めますが、年俸制のような飛躍的な給与額のアップは見込めません。
年俸制のメリット・デメリット
年俸制のメリットは1年間に支払われる金額が決まっており、毎月の収入額の見通しが立てられるので、お金の支出に対する計画が立てやすくなります。成果主義のため、年俸制ではほとんどの場合で仕事の成果に応じた給与額になり、毎月の給与額も年俸制の方が高いことが多いようです。やりがいを求める人には成果が給与額に大きく影響を与えるので、モチベーションを上げやすいかもしれません。また、仕事の成果が悪くても、期間内は給与額が下がらないという点はメリットでもあります。
年俸制では給与が毎月一定なので、お金の見通しが立てやすいというメリットがある反面、デメリットとしては、もしもその月だけ結婚式や冠婚葬祭などで急な出費が重なったた場合、その分は毎月決まった支出以外のところから出さねばならず、補填用としてその分貯蓄を取り崩さなければなりません。
また、ボーナスもあてにできません。自分の能力や成果に応じて給与額を上げることができるという反面、どれだけ活躍しても直近の給与額や賞与額は変わらず、給与額に反映されるのが翌年になってしまうことが挙げられます。逆に成果を残すことができなかった場合は翌年の年俸が減少してしまうリスクもあります。
最近はグローバル化での競争に勝ち抜くために、成果主義で優秀な社員を評価する年俸制を採用する企業が増えてきています。もしかしたら近い将来、あなたの給与が年俸制で支払われることもあるかもしれません。年俸制は決して難しい制度ではないので、その仕組みをきちんと理解しておきたいですね。