特集「新入社員マネーA to Z」では、新入社員の皆さんにお伝えしたいお金の話をリレー形式でご紹介します。
「財形」「持株会」「企業型DC」を活用しよう
「貯蓄をする」という目標は、世代や性別を問わず、どんな人でも達成したい必須の課題です。そして、貯蓄のルールは何といっても「先取り貯蓄」にあります。会社員なら、会社の中にある制度を利用しない手はありません。会社の制度を利用して、給与天引きで賢く貯める方法を考えていきましょう。
今回は、会社の中にある一般的な貯蓄の制度、「財形貯蓄」「持株会」「企業型DC」の3つについて解説をしていきます。
財形貯蓄とは?
財形貯蓄・財形(ざいけい)は正式名称「勤労者財産形成促進制度」と呼ばれる制度で、勤労者財産形成促進法という法律に基づいて運用されている、会社が社員の財産づくりを国と協力して推進する制度です。一般的には給料天引きで貯蓄していく制度です。財形には3種類あります。
まず1つが、財形一般貯蓄(一般目的)です。3年以上の期間にわたって毎月給料から天引きで事業主を通じて積み立てていきます。使用目的を限定しないフレキシブルな財形貯蓄で、貯蓄開始から1年たてば、いつでも自由に払い出しができます。一般的には銀行の定期預金などを選ぶケースが多いです。
2つ目が財形住宅貯蓄(マイホーム購入資金)です。55歳未満の勤労者が5年以上にわたって給料から天引きで事業主を通じて積み立てます。住宅取得(マイホーム購入)を目的とした貯蓄で、残高50万円以上ある人はその10倍(最高4000万円)かつ、住宅取得の90%までローンを組むことがきます。
3つ目が財形年金貯蓄(老後資金)です。こちらも55歳未満の勤労者が5年以上にわたって給料から天引きで事業主を通じて積み立てます。そして、60歳以降の所定の時期から5年以上20年未満にわたって年金として支払いを受けるものです。
財形貯蓄のメリット、デメリット
では、財形貯蓄のメリットとデメリットは何なのでしょうか。
メリットとしては、給料天引きなので強制的に貯蓄ができるという点でしょう。生活費と混ざることなく、先取り貯蓄で確実に貯蓄ができます。もう1つが、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は合計550万円まで利子等に税金がかからないという点があります。
デメリットとしては、一般財形は利子の優遇がないので、一般的に自分で銀行口座で定期預金への自動引き落としを開く天引き預金と何も変わらないという点があります。また、もう1点としては、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は使い道が確定されていることにあります。
持株会とは?
「従業員持株制度」とは、毎月の給料から一定の金額を拠出して、勤務先の株式や親会社の株式、いわゆる「自社株」を購入する制度です。「従業員持株会」や「社員持株会」とも呼ばれます。企業が持株会を作り、従業員が任意で加入します。
持株会のメリット、デメリット
持株会のメリットは、まず株式を安く購入できる点が挙げられます。多くの企業は持株会で自社株を買う際に、奨励金として1割程度の料金を負担してくれます。したがって自社株を安く買うことができるのです。またもう一点として、自社の会社の業績が上がれば、ボーナスなどに加えて持っている株の価値上昇によってさらに資産価値が上昇することが挙げられます。
一方で、デメリットも存在します。そもそも持株会で得た株の名義人は持株会の長になるので、株主優待が得られないことです。また、自分で自由に運用をすることは不可能です。また当然のことながら株なので、資産価値の下落というリスクも挙げられます。
企業型DCとは?
最後に企業型確定拠出年金(企業型DC)について説明しましょう。この制度は会社が退職金制度として導入している場合に加入できます。
企業が掛金を負担し、将来もらうことになる会社の退職金制度の枠内にあるというのが大きな特徴です。将来の60歳以降に、年金の一環として積み立てたお金をもらうことができます。したがって、加入者本人が掛け金を払わなくとも企業が積み立てていくことになるので、負担や繁雑な手続きが不要となっています。
企業型DCのメリット、デメリット
企業型DCのメリットは、掛け金だけではなく確定拠出年金に掛かる手数料を企業が負担してくれるという点が挙げられます。要するに、加入しておけば将来確実に年金としてもらえる資金が増えていく制度となっています。
一方で、デメリットとしては、あくまで会社を通した確定拠出年金になるので、自分で運営機関を選ぶことはできません。また、積み立てたお金は60歳まで引き出すことができません。
終わりに
以上、会社員の利用できる3つの制度を解説してきました。いずれにせよ、メリットとデメリットは様々です。しかし、重要なのは、制度の内容をしっかり理解して利用することです。例えば財形住宅貯蓄はマイホーム購入資金以外には使えません。しかし、マイホーム購入資金に特化しているため、いつマイホームを買うかといったライフプランをしっかり立てておけばそのメリットを最大限利用できます。
会社員の場合、会社の制度を上手に利用すれば貯蓄も上手にできるはずです。各制度のその特長を最大限に活用して、貯蓄上手になりましょう。