私は、ラッキーにも、ロンドンとニューヨークの両方に駐在することができました。ロンドンでは現地の65歳まで使える自動車免許証を習得し、それこそヨーロッパ大陸を走り回りましたし、その後のニューヨーク駐在ではアメリカの免許も取得し、アメリカも結構走りました。
欧米のドライビング事情は全く異なりますのでご紹介します。
ヨーロッパのドライビング事情
ヨーロッパは、「スピード」と「マニュアルシフト」が特筆すべき点です。ロンドンでも結構スピードを出しますが、何と言ってもドイツのオートバーン(自動車専用道路)は、すさまじいものがあります。ロンドンから自分で運転してきた車でも、オートバーンでは180キロぐらいで走っています。それがドイツともなれば、ポルシェやBMWが300キロ前後で走っているのです。
追い越し車線を180キロで走行していると、地平線あたりでピカッとパッシングが見えたと思った次の瞬間には、時速300キロでグワーッと後ろに迫ってくるので、ほうほうのていで走行車線に逃げ込みました。本当に羽をつけたら飛んでいきそうな勢いでドイツ人は走っています。
またドイツ人の友人にお父さんの車を見させてもらいましたが、ボディーがいぶし銀で良く走りそうなスタイルのアウディでさすがだと思いました。ドイツ人に限らずヨーロッパ人は車を本当に愛しています。その典型例が自動車のギアシフト。ほとんどマニュアルシフトで、オートマチックは今でも邪道扱いです。この辺はアメリカ人や日本人ドライバーとは大きく異なる点です。
また国民性がよく出るのは追い越しです。イタリア人ドライバーなどは、絶対にこの道の狭さからは追い越しはできないと思うようなところで、果敢に追い越しを掛けてきます。本当に懲りない連中だと思います。
アメリカのドライビング事情
次にアメリカですが、これがヨーロッパとは大違いです。まずスピードは非常に厳しくされていて、ニューヨーク周辺の自動車専用道路は55マイル(約95キロ)ぐらいと100キロに届きません。
その上スピード違反にはかなり厳しく、私のようなヨーロッパで走りまくった人間は、最初のうちは捕まってばかりでした。このスピード違反で捕まった時の流れが、いかにもアメリカらしいところです。
高速で飛ばしていたところでふっとバックミラーを見ると、パトカーが真後ろにいて路肩に寄せろと指示され、観念して車を路肩で止めました。そして慌てて車の外に出ようとすると、スピーカーで「中にいろ」と指示されたため、ポリスを待っていました。
すると彼は身をかがめて、車体側面に沿うようにジリジリと寄ってきます。もちろん片手は銃にそえられています。そして運転席の真横まできて車内を見回して、私が一人であることがわかって初めて窓を開けさせ、免許証などをチェックします。実にアメリカらしい光景です。
ドライバーがそこから暴走でもしようものなら、カーチェイスになって確実に殺されると思います。このポリスが簡単に人を殺すところが、私がアメリカを好きになれないところです。
「Ford」という標識の意味は?
話はイギリスに戻りますが、イギリスには「Ford(フォード)」という標識が特に田舎に行くと多いです。これは小川には道も橋もないから突っ切れという表示で、実に田舎を愛するイギリス人らしいものです。
またウェールズというケルト人の地域にいったときのことです。ウェールズは民族的にはイングランドのようなアングロサクソン人とは全く異なっていて、スコットランドやアイルランド、フランスのブルターニュ半島に住む先住民です。
ウェールズで道がわからなくなり、たまたまパトロールカーが止まっていたので道を聞きに行ったら、振り返ったポリスの目がエメラルド・グリーンだったことには驚き、見つめてしまったほどでした。
※画像は本文とは関係ありません。
執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。