成功は、うまく経験すると自信につながります。どんな小さな利益でも勝てば自信がつくものです。そういう意味で、勝ち癖をつけることは大変重要です。

勝ち癖をつける

損が続くと「どうにか一気に取り戻したい」という気持ちが高まり、トレーディングが大振り(荒く)になりがちです。しかし、この一回で取り戻そうと思うことは大変危険です。ヘタをすれば、さらに損の上塗りになってしまいます。損をした時は、焦らずにコツコツと取り戻すつもりでやることが大事です。

損をした時は焦らずコツコツ取り戻すこと(画像はイメージ)

そして、それ以前に「大きく損失が発生するまでなぜポジションを放置したか」を振り返って思い起こすことが大切です。

大きな損失の発生は、多くの場合、相場に固執したり損切りが決断できずにポジションをズルズルと持ち続けてしまったりすることによります。つまり、意地や期待、くやしさや焦りなどによってポジションが切れなくなっていたことがわかると思います。そうした心の中の葛藤は簡単には消えません。

まずは休んで気持ちの高ぶりを冷ますこと。そして次にコツコツと勝ち癖をつけて行くことが何よりも大事だと思います。あとは、「相場はこれ一回限りではない」と割り切れるようになることです。

相場はこれ一回きりではない

この割り切りができるようになると大きな成長をみることになります。相場を客観的に見られようになるのです。

相場をはじめて間もないかあるいは勝ち癖がつかずにきている場合、ひとつの相場に対する執着が強く、もっと大きな視点で相場を見ることができないでいると言えます。そのため、ひとつのトレードに執着しがちです。すなわち、「この相場に勝たねば後がない」と自分を追い込んでしまうことが良くあります。

しかしもっと相場を大所高所から見られるようになると、ひとつのトレードに固執することがなくなり、もっと謙虚になれると思います。つねに勝とうと思うのではなく、損して得獲れ的な大人のトレードができるようになります。

目先のトレードはどうも間違えだったということを素直に認め早々に撤退し、次の勝負のために体力を温存するということ覚えると、それまで自分で自分を追い込んでいたものから、吹っ切れるようになります。

そして執着なしにさらさらっとトレードができるようになると、利益はついてくるものです。ですのである意味、村の古老のように、「ふわふわふわ、負けましたか。まだ修行が足りませんな」「勝ちましたか。それも運ですな」的な達観さが大事だと思います。青筋立てて、相場にかぶりついていないことが大切なのです。

また、「次のトレードができるだけの体力を残すために、今のトレードのあり方を考えるということも、非常に重要なことだと思います。

過去の栄光にすがらない

さらに気をつけなくてはならないのは「過去の栄光にすがらない」ということです。実は恥ずかしながら私自身、若いころに一時期これにはまってしまったことがあります。

大儲けを経験するに連れて自信をつけて行きましたが、ほどほどで済ませておけば良いものを過剰な自信を持つようになり、いわば「鼻持ちならない」男になっていた時期がありました。天狗になってしまうと謙虚さや向学心がなくなり、過去の財産にすがって生きるようになっていました。

こういう時に鉄槌とは下されるもので、思いっきり自己否定を促されました。当時私の大ボスが国際電話で「過去の栄光は忘れろ!」とストレートに言ってくださったことで、その後の自分があると思います。しかし、そうした時期があったことは自分にとって良かったと、今では思っています。

投機をなす者、楽悲を戒む

勝ったと言えばはしゃぎ、負けたと言えばしょげるでは成長はないということです。村の古老のように、あるいはポーカーフェースでトレードすることが自分自身の成長を促すものと考えられます。相場とは、終わりのない修行のようなものだと最近つくづく思います。

※画像は本文とは関係ありません。

執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら