相場をあてるためには、相場の動き出すタイミングを知ることが大切
ボリンジャーバンドとは、トレーダーの間では、とても人気のあるインディケーターで、通常期間を20か21を使って、相場の上限、下限を読むときに使います。
ただ、私は、通常ボリンジャーバンドの5(期間:5、偏差:2)を使っています。
これは、とてもイレギュラーな使い方ではありますが、相場の動き出すタイミングを知る上で結構役に立ちます。
かれこれ、このボリンジャーバンド5を、20年以上見ていますが、相場の動き出すタイミングをかなり精度高く教えてくれます。
相場をあてるためには、もちろん、相場の方向性を正しく読むことが大事なのは当然ですが、それと同様に大事なのは、相場の動き出すタイミングを知ることです。
相場が動くとフィーリングを感じることは、よくあることです。
しかし、フィーリングを感じたからと言って、すぐに相場に飛びこんでも、うまく行かず、むしろフライング気味に相場に入ってしまったために、相場のアヤに煽られて、泣く泣くポジションを切ると、その後、思っていた方向に動き出すことが良くあります。
こういう相場エントリーのタイミングを知るのに、ボリンジャーバンド5は大変役に立つツールです。
ボリンジャーバンド5の具体的な見方とは?
具体的な見方は、上下のバンドが収束し、そして平行あるいは平行に近い格好になった時が、相場が動きだすタイミングとなります。
特に、その前のロウソク足が、寄せ線(よせせん、寄り付きと引け値が近く、上下にヒゲが出た格好)が出ると、さらに動き出すタイミングが近づいていることがわかります。
ボリンジャーバンド5は、通常、日足で見ていますが、場合によって、もっと、長い期間でも見ます。
ユーロ/ドルの月足のボリンジャーバンド5カ月間の状況
今回、お話ししたかったのは、ユーロ/ドルの月足のボリンジャーバンド5カ月間の状況です。
現状のユーロ/ドルのボリンジャーバンド5カ月を見てみますと、最近値動きが顕著に収束してきていることがわかります。
それは、昨年5月から今年の3月まで相場は急落し、この間ボリンジャーバンド5カ月間の上下のバンドも下降していました。
そして3月以降、相場が横ばいになり値幅も狭まっていきました。
この値幅が狭まっていくのと同時に、上下のバンドも収束していきました。
それが意味するところが、ユーロ/ドルの動くタイミングが近づいているということです。
今回の場合、月足で見ていますので、動き出すと相場が結構大きく動くことが予想されます。
ただし、ここで注意する必要があるのは、ボリンジャーバンド5は、動くタイミングは教えてくれますが、動く方向は教えてくれませんので、ご自身の相場観か、あるいは他の分析ツールと併用することが必要になります。
ユーロ圏の盟主ドイツが難しい局面に
今回の私のユーロ/ドルの相場観はどうかと言えば、先月、ドラギECB総裁が12月に追加緩和を検討すると緩和予告をしていることもあります。
しかし、それだけではなく、最近、ユーロ圏の盟主ドイツが難しい局面に来ていることがあるからです。
難民問題もゆゆしき問題ですが、ドイツの産業界や銀行で問題が出ています。
産業界の問題の中では、ご存知のように、フォルクスワーゲンの不正問題があります。
問題発覚後、売り上げも低迷しているようです。
尚、この会社は、55万人もの従業員を抱えており、今後状況が悪化するとリストラを避けられないことが懸念されます。
また、ドイツ最大手であり、世界的にもトップクラスの銀行とされてきたドイツ銀行でも8万人の従業員のうち半分近くの3万5千人をこれから2年間で削減すると発表しています。
産業界にしても銀行にしても、なぜこんな状況になったかと言えば、もともと、ドイツには独自の経営手法があり、労使関係も協調路線にあったのが、その経営スタイルから、アメリカンスタイルのグローバル・スタンダードに変えたことが、結局失敗に終わったという点が大きかったようです。
ギリシャ問題でも、相場は大荒れとなりましたが、もしユーロ圏の盟主ドイツがおかしくなったら、混乱はギリシャの比ではないものと思われ、ユーロ/ドルには十分な警戒が必要です。
執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。