相場に対するひらめきとは、誰しも持っていることだと思っています。しかし、ひらめきが現実になり、利益を得ることができるトレーダーは一握りです。その原因は、ひらめきが、現実になるには、予想している以上に時間が掛かるものだからです。
相場のタイミングを客観的に知ること
多くの場合、トレーダーはひらめくと、すぐに相場に飛び込んでしまいます。しかし、同じようにひらめいたマーケット参加者も多く、一気に、ポジションが一方向に偏ってしまいます。
大きく片方に偏った相場は復原しようとして、反対方向に偏り、多くのマーケット参加者は振り落とされて、本来意図した思惑通りの方向へ動き出すタイミングを待たずして、犠牲者となります。
したがって、相場のタイミングを知るということは、大変重要ですし、また、このタイミングをできるだけ客観的に知ることが、より合理的に、相場へエントリーし、利益を得るために大変重要だということです。言い換えれば、相場の動き出すタイミングを不思議なことに予知するものです。
客観的に相場のタイミングを見る方法には、ふたつあります。ひとつは、複数の移動平均線の収束によってわかります。もう、ひとつは、ボリンジャーバンドから得られる方法です。
複数の移動平均線の収束
まず、複数の移動平均線の収束から説明しましょう。私の場合、移動平均線として、5、10、25、90、120、200を使い、基本的には、日足で見ています。
移動平均線に縛りはないので、皆さんお好きな期間を選んでください。
チャートの右側のように、複数の移動平均線が収束すると、動くタイミングが近づいたことを示します。ただし、複数の移動平均線の場合、今からご紹介するボリンジャーファイブほどはピンポイントでは、わかりません。
しかし、近づいてきている過程では、ボリンジャーバンドファイブよりはわかりやすいです。要は、それぞれ平行して使うことが、良いと思います。
ボリンジャーバンドファイブ
ボリンジャーバンドは、一般的に、20あるいは21を使いますが、ボリンジャーファイブでは、期間:5、偏差:2を使います。
これは、上下のバンドが収束して、更に平行になったとき、動くタイミングが来たことを示します。
さらに、平行になった時点で、寄せ線(寄り付きと引け値の近いロウソク足)が出ると、さらに、動くタイミングが近づいていることを示します。
左図でも、上下のバンドがかなり近づき、そして平行になると、動くタイミングが近づいていることがわかります。そして、右図のように、急落します。しかも、破裂直前に寄せ線が出ていることがお分かりいただけるかと思います。
これは動きだすとタイミングが来ていることを示す、便利なチャートですが、もちろん欠点もあります。それは、「タイミングはわかっても、方向がわからない」ということです。その点につきましては、皆様の相場観、あるいは他の分析ツールとの併用が必要になります。
ただし、これはもう一つの役目も果たします。それは、いわゆる緊急地震速報ならぬ「緊急相場変動速報」です。
事前に、何か動きそうだとわかっていれば、身構えていることができます。相場の急騰・急落の原因は、油断あるいはパニックです。
つまり、心の準備ができていないのに、ワッと突然相場が動き出すと、全く相場に構えていませんので、大変にパニックとなります。このような、ある程度予知することができれば、身構えていられるということになります。
そう言う意味で、試してみる価値は、十分あると思いますので、お勧めします。
執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。