私の場合、頭の中で、いろいろな相場の構成要素がぐるぐると回っていたところに、急にそれらの構成要素が一遍に合体して、その瞬間、視野が広がり相場の全容が見えてくることが、あります。
これを、私の言葉で言えば、相場のひらめきと言っています。
ただ、これは、私の専売特許ではなく、だれしもが持っている能力だと考えています。
しかし、なかなかひらめいてもうまく儲からないものですが、その原因は、相場のひらめきを感じてから、それが現実のものになるまでには、予想外に時間がかかるということです。
この、ひらめきと現実の間の長い時間差に気づいておらず、ひらめいてすぐに、相場に飛び込んでしまうところで、落とし穴にはまることになります。
しかも、もうひとつ忘れてはならないことは、このひらめきは、決して自分だけではなく、多くのマーケット参加者がほぼ同時にひらめいているということです。
そうすると、多くのマーケット参加者が、ひらめいてすぐに相場に飛び込んでくるわけですから、ごく短期間で、マーケットのポジションはショートあるいはロングに偏ることになります。
そして、マーケットのポジションが飽和状態になれば、自律的に反転して、ロスカットが集中することになります。
よく、「自分のポジションは誰かに見られているようで、自分のポジションの逆にしか相場が動かない」とお悩みになる方が結構いますが、それは、ひらめいて、多くのマーケット参加者がほぼ同時に同方向のポジションを持つことによって、売り過ぎあるいは買い過ぎ状態となり、相場の反転に巻き込まれているわけです。
そこで、この、ひらめきとそれが現実となる間の長い時間差を、逆手にとってうまく相場にエントリーする手法をご紹介したいと思います。
繰り返しますが、ひらめきとそれが現実になるには、時間が予想以上にかかります。
ということは、焦らず、じっくりと売るタイミングを待つということになります。
それでは、具体的に、現在のユーロ/円の日足チャートで見てみましょう。
多分、もっと短い足のチャートの方が良いのではないかというご意見もあるかと思いますが、じっくりと良いレートで売るためには、日足くらいの方がチャンスがあります。
ここで、ユーロ/円の状況を日足で申し上げますと、以下のようになります。
ユーロ/円は、まさに下落してきていますが、良く見ると、下に突っ込むと、多分薄いマーケットですぐに売り過ぎになるために上に戻し、相場がこなれると、また下がるということを繰り返しています。
そして、先週末には、とうとう120.00を一時割り込み、119.92をつけています。
今までも下落トレンドではあったけれども、ここに来て、更に売り込まれそうな様相を呈してきています。
そこで、下値を売り込んで良いのかどうか、迷うところですが、先ほどから申し上げていますように、ここはじっくり待って売り場を探す方が、賢明ではないかと考えます。
なぜなら、投機的が120.00を本格的に突破して売り込もうとしているだけに、むしろ短期的にショートができやすいと思われるからです。
そうすると、120.60近辺にある5日間移動平均線、あるいは121.40近辺にある10日移動平均線まで戻す可能性があり、そこいらまで戻す可能性があります。
ただし、日足自体の下落角度が急になってきていますので、5日移動平均線あたりまでの戻りの方が、現実的だと思われますので、120.60に5pips載せて120.65で売りの指値を入れて見てはどうかなと思います。
この答えは、これからの相場が出してくれると思いますが、1日限定で試してみてはいかがでしょうか。
この手法のコツは、つくかつかないかというギリギリのところに指値を置くわけですから、つかなかったらつかないで良いという心持ちでやることが大切です。
しかし、十分引き付けるだけ引き付けるため、アゲンスト(不利)な状況になっても、それ程は深くアゲンストにはならないため、ストレスが少ないと言えます。
また、今回の例では、5日移動平均線の上でエントリーすることにしましたが、その上の10日移動平均線のあたりまでの続伸の可能性もありますので、そのあたりは、ご自身の判断でどちらを選ぶかはご検討ください。
執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。