トレンド相場とレンジ相場は、相場の基本ですが、基本であるだけに、敢えて取り上げてみたいと思います。
上記のように、左がトレンド相場、右はレンジ相場が典型例です。
トレンド相場
この例のトレンド相場は、上昇しているため、上昇トレンドと呼び、下落するトレンド相場を下落トレンドと言います。
ここでは、上昇トレンドで話を進めます。
上昇トレンドの特徴は、下値を切り上げ、上値を切り上げ、ほぼ一本調子で 上昇相場が進みます。
この上昇トレンドでのベストトレードは、バイ・アンド・ホールド(Buy and Hold)で、要するに、買ったら後は、ひたすら買い持ちポジションを持ち続ける方法で、かなり儲かります。
尚、この方式のコツは、出来るだけ早く、相場が上昇トレンドに入ったと気づくことと、いったんポジションを持ったら、ひたすら持ち続けることです。
ただし、錯覚に陥りやすいのですが、こうした相場が永遠に続くと思われがちですが、必ず終わり、レンジ相場に移行する時がやってきます。
その時が、トレンド相場でずっと抱え込んだポジションを手仕舞う時です。その手仕舞いのタイミングについては、レンジ相場のところでお話しします。
レンジ相場
これは、あまり知られていないことですが、レンジ相場には三段階があります。
第1段階「乱高下期」
第1段階は、トレンド相場の終了直後にやってきます。
激しい上下動を繰り返し、折角イージーなトレンド相場で儲けた利益を減らしたり、飛ばしたりしやすい上に、レンジの3段階の中でも、期間がもっとも長くなる傾向がありますので、十分な警戒が必要です。
この第1段階を、「乱高下期」と呼んでいます。
さて、前述のトレンド相場からレンジ相場への相場転換に気づくには、トレンド相場のトレンドライン(上昇トレンドであれば切り上げてきていた下値を結んだサポートライン)を割り込んだら、出来るだけ速やかに、買い持ちポジションを手仕舞うことです。
そして、この「乱高下期」は、出来るだけトレードを差し控えることが得策だと思っています。
確かに、派手に動きますので、思わず相場にのめり込みたくなるものですが、結構、脈絡もなく動いているため、儲けたかと思うと、損失を出したりで、トータルでは、思うようにはもうかりません。
この時期は、流すぐらいのつもりでいることが大切です。
第2段階「安定期」
次は、第2段階の「安定期」です。
これは、まさに典型的なレンジ相場で、ある一定幅のレンジ内で、上下動を繰り返すため、逆張りで儲けやすい相場です。
しかし、この期間は、決して長くはありません。
第3段階「収束期」
そして、第3段階の「収束期」になります。
「収束期」は、第2段階の「安定期」より、さらに、収束して値幅が狭くなります。
そのため、もっとタイトでトレードがしづらくなりますが、実は、この「収束期」は大変重要な役目を果たしています。
つまり、長らく続いたレンジ相場から、トレンド相場への転換のタイミングが近づいていることを示します。従って、少なくともしてはならないことは、逆張りです。
逆張りを続けているところに、相場がレンジからトレンドに転換すると、ポジションが捕まってしまい、大きな損失を被る可能性があります。従って、この「収束期」に入ったら、直ちに逆張りは手仕舞い、そして、トレンド相場に入ったら、トレンドフォロー(トレンド相場に追随)することが大事です。
上記の図の「収束期」が終わったら、下落トレンドに移行していることがお分かり頂けるかと思います。
このように、基本的には、相場はトレンドとレンジの繰り返しとなっています。そして、レンジ相場をさらに仔細に見ると、3段階からできています。
こうした相場の仕組みを知っているだけで、損失を抑え、収益チャンスを増やすことになりますので、どうぞ忘れないようにしてください。
執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。