ユーロ/円に触れてみたいと思います。
月足で見てみますと、2012年ら2014年まで、なんと52円前後上昇して、149円台後半まで達しました。
しかし、そこから反落となり、現在は、122円台前半にいます。
そして、今後のユーロ/円の展開を考えますと、ドル/円、そしてユーロ/ドルの展開も見えてくるように思われます。
ユーロ/円の月足をご覧いただくとわかりますが、上昇過程の2013年1月から3月で、足踏みしていることがわかります。
これが、それからのラウンディングトップ(坊主頭)のネックライン(首)にあたるところです。
ちなみに、ラウンディングトップは、天井圏形成の形状ですので、今や、下落リスクが高まってきています。
そして、2015年6月ぐらいからの下げの過程でも、2013年1月から3月上げ局面と同じような足踏みをしています
これが、またネックラインに引っかかっていることになりますが、2016年4月の引けは、ネックラインをわずかながら下回り、さらに5月も安値圏にいて、極めて、下がりやすい格好になっています。
ネックラインは、120.50近辺が現在サポートとなっていますが、これがブレイクすると、かなり急ピッチな下げになると見ています。
100.00前後まで落ちる可能性すらあると見ています。
これを、ドル/円とユーロ/ドルに分けて考えてみますと、まず、ドル/円は、現在105.83近辺の200カ月移動平均線というサポートで支えられています。
しかし、戻りも弱いため、近い将来、105.83近辺のサポートをブレイクして、下落するものと見ています。
100.06近辺に120カ月移動平均線、96.01近辺に90日移動平均線のサポートがありますので。それぞれに到達すれば、一時的に足踏みになるものと思われます。
さらに、EUR/USDを見てみますと、今上値を試してはいますが、1.1673近辺の25カ月移動平均線を上抜くには、かなりの時間を要することになると思われます。
つまり、ドル/円は下げやすく、ユーロ/ドルは上がりにくいものと思われます。
この合成ですから、ユーロ/円は下がりやすいものと見ています。
ファンダメンタルズ的には、どうかちいえば、やはり米国がドル安政策に転換したのは、大きいと思います。
2014年から大幅なドル高となり、これは実際上、米国の貿易赤字をふくらませました。
この状況、2015年は、イエレンFRB議長はじめ、FRBの各理事から、不満の声があがりました。
その後、一時、不満の声も立ち消えたかに見えましたが、今年の2月末の上海G20で、「通貨安競争の回避」が確認されており、もう日本政府も、トークアップ(要人発言で相場を持ち上げる)ことすら難しくなっているように思われます。
そして、ドル高政策の狙い撃ちは、1985年のプラザ合意と同じく、ドル/円叩きになる可能性が高いように思っています。
それは、やはり、日米同盟もあるでしょうし、米国が言うと折れてくれやすいという見方も定着しているものと思われます。
なお、EUR/JPYが100.00になった時のドル/円の水準ですが、たぶん、ユーロ/ドルは上げても1.2200近辺だと思われ、100.00÷13300=約82.00となる可能性すらあるということにご注意ください。
執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。