4月になりましたので、4月相場の注意点について、お話ししたいと思います。
4月は、多くの日本の企業の新年度です。
さぞかし、日本企業の取引も活発になるだろうと思われるかもしれません。
しかし、実は、多くの輸出企業、輸入企業、そして生保(生命保険会社)のような機関投資家の動きは、逆に鈍くなります。
なぜなら、各社、4月は新年度の方針の策定に時間を割くからです。
つまり、輸出企業、輸入企業であれば、企業の損益分岐点となる為替想定レートを新たに検討しますし、機関投資家は新しい運用方針に基づく為替戦略を決めます。
この方針策定に、4月丸1カ月をかけると言っても過言ではありません。
余談ですが、たとえば、生保各社は、4月末に新年度の運用方針を、新聞やネットを通じて公表しています。
公表される内容は、「ドルが下がったら買う」といった具合に、かなり具体的で、生保の新年度の方針を知るうえで大変参考になりますので、ご覧になることをお勧めします。
話を本題に戻しまして、それでは、4月のマーケットには誰が残るかと言えば、それは投機筋です。
投機筋には、投機筋の宿命があります。
つまり、売ったら必ず利食いか損切りのために買い戻さなければなりませんし、買ったら必ず利食いか損切りのために売り戻さなければなりません。
こうした宿命を持つ投機筋ばかりがマーケットに残るということは、相場が上ったり下がったり、往ったり来たりする相場、つまり、レンジ相場になりやすいということです。
しかし、4月は、投機筋の相場に対する意識とレンジ相場になりやすい相場の傾向との間にギャップができる時期でもあります。
なぜなら、春本番となり、新学期や就職と社会全体的にも、「(気持ちも新たに)さあ、やるぞ!」と気合いが入りやすい時期だからです。
そして、それは相場の世界でも言えます。
実は、4月は、1月と9月と合わせて、年間3大「気合いが入りやすい」月です。
4月については、上記で申し上げたような理由ですが、1月は新年であり欧米勢にとっての新年度のスタートで気合いが入りやすい時期であり、また9月は欧米勢の実質的な下期のスタートで欧米勢が気合いが入りやすい時期です。
要するに、4月は、実需や機関投資家の動きが鈍っていて、ただでさえ流動性が低下しているところに、投機筋が気合いいっぱいでトレードしますから、かなり荒っぽい上下動になりやすいということです。
一般社会では、「(気持ちも新たに)さあ、やるぞ!」という気合いは、決して悪いことではありませんが、相場の世界では、マーケットに気合いが入って、全体のポジションが一方に大きく偏ると、相場が反転してしまって、思わぬ損失を出しやすく非常に危険な地合いです。
したがって、気合いを入れずに淡々としていることが求められます。
言い換えれば、一喜一憂しないことが大切です。
そのために、短期勝負で、利が乗ればどんどん利食っていくことも大事ですし、マーケットのポジションがどちらに偏っているかを常に読むことも必要です。
つまり、4月は、日頃よりさらに冷静に対応することが求められます。
特に、「儲け損なう恐怖」から、冷静さを失う時が多く注意が必要です。
もし、ここでポジションを張らないと、大きな収益チャンスを逃してしまうという焦りからポジションを張って、良い結果になることはほとんどありません。
「儲け損なう恐怖」は、その恐怖に追い立てられて、見境なく流れに乗ろうとしがちですので、マーケットにエントリーするタイミングが、本来入るべきタイミングより早めになるだけでなく、全く方向を見誤らせることもあります。
ポジションを張る時には、これは「儲け損なう恐怖」から張ろうとしていないかを自問自答されると良いと思います。