1月は、欧米の大口投資家の新年度スタートです。
なお、ここでいう欧米の大口投資家とは、政府系ファンド、年金運用のペンションファンド、生保など機関投資家、そして中央銀行などです。
こうした欧米の大口投資家は、1月中に運用方針を検討の上決定し、2月に入り方針に従って行動に出てきています。
彼らが、実施する行動には、二つあり、一つには、リバランスがあります。
リバランスとは、初めに決めた資産配分の比率が時間の経過とともに変わった場合、元の配分に戻すことを言います。
もう一つには、リアロケーションがあります。
リアロケーションは、リバランスと違い、資産配分そのものをまったく別の配分に変えることです。
つまり、国際分散投資の前提条件そのものが変わったので、それに合わせて資産配分を1から見直そうとする大掛かりなものです。
今回の欧米の大口投資家の行動は、リアロケーションの色彩が濃いことが、最近の為替相場の動きからうかがい知ることができます。
その顕著な例は、クロス円の上昇です。
2月に入ってからの、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、NZドル/円、カナダ/円は上昇傾向です。
しかし、同時に、ドル安にもなっていて、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドルなどが、ドルに対して上昇傾向となっていいます。
そしてさらに、スイスフランに対しても、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドルが上昇しています。
つまり、円や米ドルやスイスフランをアンダーウェイト、つまり資産配分を基準より減らして、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドルなどをオーバーウェイト、つまり資産配分を基準より増やすというリアロケーションを、欧米の大口投資家が、今、実行に移しているものと思われます。
今回、リアロケーションに至った原因は、円とスイスフランについては、株価との相関性が薄れてきており、低リスク通貨としてのリスク回避先の役目が低下したとみなされていることやマイナス金利が長期化していることが挙げられると思われます。
また、ドルについては米国内の分断が問題化し資金がドルから逃避されているものと思われます。
そして、今までアンダーウェイトされていたユーロやポンドなどへの資金シフトが進んでいるものと見ています。
ユーロについては消費者物価が上昇してきていることや世界第二位の流動性があることからドルから移動してくる大量の資金の受け皿になりえることが挙げられます。
ポンドについては英国でコロナワクチンの接種が先進国の中で最も進んでいること、豪ドル・NZドル・カナダドルについては資源価格が上昇していることなどが注目されているものと見ています。
欧米の大口投資家は、いったん方針を決めて行動にでると、リアロケーションが済むまで、とことん資金移動しますので、基本的に一方向に向かう相場はまだ続くものと思われます。
なお、今回、アンダーウェイトされた、円、ドル、スイスフランの横の関係はどうかと言え ば、上下動はするものの、結局は、レンジの域は脱しないものと見ています。
なお、リアロケーションは、長ければ、5月いっぱいまで続くものと見ています。
そして、6月は、欧米の中間決算となるため、それまでに積み上がったポジションを手仕舞って決算するため、相場は逆行するものと思われます。