1月20日水曜日、米大統領就任式が行われました。
これが、時代の転換点になったものと見ています。
なぜなら、アメリカとかイギリスのような二大政党制の国では、全く両極端の政策を打出すふたつの政党が、政権交代するたびに、今までの政権が積み上げてきた政策を撤回し、新政権が主張する新政策に入れ替えるからです。
オバマ政権(民主党)が打ち立てた政策は、トランプ政権(共和党)が否定しましたが、今度は、トランプ政権の政策をバイデン政権(民主党)が否定する番だということです。
実際、バイデン氏は、就任1日目にして、15本の大統領令に署名したほどでした。
政策の変更によって、具体的な社会システムにも変化が起こり、まさに時代の転換が起こると見ています。
その転換は、相場にも言えることで、政権によって相場つき(相場の動き方)も変わってくると思われます。
それでは、オバマ政権とトランプ政権での相場つきの違いを、以下、ドル/円とユーロ/ドルで見てみたいと思います。
まず、ドル/円です。
オバマ政権は、2008年から2017年初めまで8年間続き、その後トランプ政権は2017年から先月1月19日まで4年間続きました。
このふたつの期間を比べてみて一目瞭然なのは、値幅が全然違うことです。
オバマ政権の時の値幅は50円もあったのに対して、トランプ政権下では17円しかありませんでした。
さらに申し上げれば、オバマ政権の期間では、下がって上がっていますので、広げてみれば90円ぐらいの値幅があったのに対して、トランプ政権下では、大統領選直後に17円上昇した後は、4年掛けてゆるゆるとスタート点に戻ってきたような動きです。
次は、ユーロ/ドルで見てみましょう。
やはり、オバマ政権下の値幅は5650ポイントあったのに、トランプ政権下では2200ポイントに留まりました。
しかも、値動き自体、オバマ政権下では、かなりダイナミックに上下動を繰り替えしているのに対して、トランプ政権下では、上げて下げて上げてという単調な動きでした。
つまり、申し上げたいことは、政権が変わると相場つきも極端に変わるということです。
そして、今回、共和党から民主党に変わり、また相場つきは、大きくなるものと見ています。
しかも、民主党は体質的に財政支出が増えるところにもってきて、このコロナ渦ですから、相当財政赤字が膨らむことが容易に想像され、これは大幅なドル安につながるものと見ています。
注意しなくてはならないことは、マーケット全体が過去4年間のトランプ政権下での狭いレンジ相場に慣れてしまっているので、大相場に慣れていません。
大相場に乗れないならまだしも、大相場に逆張りで入って取り返しのつかないような損失を出してしまうリスクがありますので、十分な警戒が必要です。
また、相場を見る時に、短期チャートだけでなく、中長期のチャートも見ることは基本的に大事ですが、大相場となるとさらに重要さが増します。
尚、ここで申し上げるそれぞれの期間を大雑把に区分けしますと、短期とは、1分足から1時間足、中期とは、4時間、8時間、日足、長期とは、週足、月足といったスケールだとご理解ください。
相場が荒れていない時には、短期チャートだけでも、ある程度の相場展開は確かにわかります。
しかし、相場がダイナミックに動く大相場では、短期チャートだけを見ていても、相場展開のほんの一部しかわからなくなりますので、中長期のチャートを合わせて見る必要性が高まります。
なぜなら、平常の場合の短期チャートの動きが、相場が荒れている時には動きがダイナミックになり、中長期のチャートのスケールで動くようになるためです。
たとえば、レジスタンスやサポートについても、短期のポイントではなく、中期、長期のポイントがより有効に働きます。
言い換えれば、短期チャートでは、相場の行き過ぎに見えても、大相場では、お構いなしにさらに大きく動くことになりますので、短期チャートにおけるチャートポイントや経験則をあてはめようとすると危険が伴います。
大相場では、平常時とは意識を切り替えて、より大きなスケールで相場を把握するように、心掛けることが大切です。
それが、つまり、相場を大掴みで読むということです。