クロス円の中から、代表的な4つのクロス円の日足チャートを見てみましょう。
これは、ユーロ/円の日足です。
ユーロ円は、現在、円安で先行しています。
こちらは、ポンド円の日足です。
ブレグジット交渉をしているポンドに対してですら円安気味です。
次は、オージー/円の日足です。
これも、順調に円安が進んでいます。
そして、ニュージー円の日足です。
ニュージー/円も、円安傾向です。
ご覧いただきましたように、11月以降、ここにきて、クロス円が全般に円安傾向です。
ひとつの見方としては、バイデン政権の閣僚人事が固まってきているという安心感から、リスクが回避されたとする円売りが出ているとも言えるかもしれません。
しかし、長い目で見れば、ドル/円が下げ渋る中、クロス円が円安になるのは、今の相場がドル安相場だからだと言えると思います。
そのことは、ドルの総合的な強弱を示すドル・インデックスが、11月以降、今見てきましたクロス円の円安進行と同時に、ドル安が進行していることからお分かりいただけると思います。
つまり、ボラティリティー(価格変動率)の低いドル/円がもみ合う一方で、他の通貨でドル安が着々と進行するため、クロス円が上昇するということが起きるわけです。
逆に言えば、クロス円が競って上昇する時は、相場がドル安相場になっているからだと見ても過言ではありません。
いったんクロス円が円安に動き出すと止まらなくなりがちです。
それは、ドル安が止まらなくなるということでもあります。
そして、その間、ドル/円は、方向感なく上下動を続けることが多いと言えます。
しかし、気をつけなくてはならないことは、そうして、揉み合っているドル/円が、ある日、突然豹変して急落を始め、ドル安の遅れを一気に取り戻そうとするかのような下落をすることが過去に何度もありました。
その下落は、有無を言わさぬ強力なもので、それを遮れるようなものではありません。
ですから、クロス円でロングを持つにしても、そうした突然のドル/円の急落による円高がいつ何時起きるかもしれないというリスクがあることを、十分承知しておくことが大事です。
そして、そのリスクに備えるためには、ストップロスを、遠くても良いですから必ず入れ、常に身を守ることが大切です。
さて、ドル全面高、ドル全面安というドル主導の相場におけるクロス円の一般的な動き方について、包括して確認しておきたいと思います。
まず、ドルが全面高になっても全面安になっても、共通して言えることは、ユーロ/ドルなど円以外の通貨の対ドル相場の動きが、ドル/円相場の動きよりも速くなるというのが一般的で、これらの動く速度の違いが、クロス円の動きに反映されます。
ドル全面高の場合ですが、ユーロ/ドルなどの下落(ドル高)の方がドル/円でのドル高よりも速まるため、クロス円は下落します。
一方、ドル全面安の場合は、ユーロ/ドルなどの上昇(ドル安)の方がドル/円でのドル安よりも速まるため、クロス円は上昇します。
もちろん、ユーロ/ドルなどの動きとドル/円の動きが同速度になることもないわけではありません。
その場合は、クロス円は横這い推移となりますが、これは一時的で長続きせず、今申し上げたような、ドル全面高、全面安のそれぞれの場合における対ドル相場のスピード差によって、クロス円が動くことが一般的だと考えておくべきかと思います。
また、ドル/円の方がユーロ/ドルよりも速まる場合もあり、ドル全面高ならクロス円は上昇、ドル全面安ならクロス円は下落します。
これは、円主導の東京タイムに起きる傾向がありますが、やはり長続きはしないと言えます。