最近のユーロ/ポンドは、英国とEUとのブレグジット交渉が難航していることから、多くの投機資金の出入りもあり、かなり激しくマーケットで売り買いされています。

  • ユーロ/ポンド 週足

ポンド/円をトレードするにしても、このユーロ/ポンドという通貨ペアの動向を見ないと、わかりません。

クロス円と言えば、そのクロス円自体の値動きだけを見て売り買いしがちですが、実は円の相手方となっている通貨が円とは別の通貨と、どのような関わり合いを持っているかを知らなくては、そのクロス円自体の動きを掴むことはできません。

それが、ポンドで言えば、ユーロ/ポンドの動きです。

ユーロ/ドルとポンド/ドルの1時間足のチャートをいつも並べて見ていますが、たとえば、ユーロ/ドルが下落する一方、ポンド/ドルが上昇するなど逆行することが、特にロンドンタイムにはよくあります。

これは、ユーロ/ポンドで、ユーロ売りポンド買いが大口で入っていることを意味し、その結果、ユーロ/円は下落する一方、ポンド/円は上昇するということが起きます。

そして、結果として、ユーロ/円の下げに押されてドル/円が下落したりすることもあります。

日本にいると、ユーロとポンドの関わり合いは、なかなかピンときませんが、ユーロとポンドは、英仏間の狭いドーバー海峡を挟んだ欧州大陸と英国とのクロス通貨に過ぎないようにしか見えないと思います。

しかし、このふたつ通貨の間には、貿易取引や投資資金や投機的な資金が右へ左へと流れており、大変大きな取引量のある通貨ペアです。

そして、ここで気をつけなければならないのは、英国と欧州大陸は全く違う文化圏だということです。

確かに、地理的には、狭いドーバー海峡を挟んでいるのに過ぎませんが、メンタル的には、英国は米国に近く、あたかも、英国と米国は狭いドーバー海峡ほどの距離感しかないのに対して、英国と欧州大陸の距離感は広い大西洋ほども離れているということです。

たとえば、この英国と米国との近接した距離感の例としては、ポンド/ドルをケーブル(Cable)と呼びます。

それは、最初の通貨の電信取引が、ロンドン・ニューヨーク間で1800年代中頃に大西洋横断海底ケーブルを使って始まったことに由来しており、英国と米国のつながりの深さを示すとともに、それが連綿として現代にも至っていることを表しています。

したがって、隣同士の通貨ペアであるはずのユーロ/ポンドですが、物事の考え方が英国と欧州大陸とでは大きく異なるため、激しく動くことになると見ておくべきかと思います。

したがって、ポンド/円でトレードするにしても、こうしたポンドが持つバックグラウンドを十分理解し、ユーロ/ポンドの動きに目をやりながらトレードする必要があるわけです。

尚、ユーロ/ポンドは、1999年1月のユーロ発足と同時に出来上がったクロスですが、それまでのクロスの主役だったポンド/独マルクの後釜と言って良い通貨ペアです。

  • ユーロ/ポンド 月足(1999年以来)

発足から2007年8月まではおとなしいクロスで、2003年3月から2007年8月までの約4年半のレンジが700ポイントしかありませんでした。

しかし、2007年9月から原油価格の高騰をきっかけに2008年12月までに3,000ポイントの急上昇を見、その後1,400ポイントの急落をするなど、かなり荒っぽい動きをしました。

その後、2,000ポイントの反発を見た後は、最近は比較的落ち着いた動きとなりました。

つまり、実は直近のブレグジット絡みの動きなど、過去の大変動に比べればまだまだ小さなものだと言えます。