コロナ禍で、学校の授業数の足りないのはいずこも同じだと思われ、いつもより少ない夏休みの期間に集中して休みを取る可能性があります。

つまり、一般的にも、夏休みのピークは、8月第1週、第2週に集中しますが、その傾向がさらに強まる可能性があります。

また、米国債の利回りも大幅に低下しており、日本の企業や個人投資家が受け取る米国債の利金(利息)の円転(ドルから円に換える)の額も減っているものと思われ、円買い圧力が弱まる可能性もあります。

そういう意味では、いつもとは一味違う夏休みになりそうではありますが、一方、米中関係は、一層緊張を深めており、リスク回避の円買いの動きが出てもおかしくはない点では、円高アノマリーの8月は健在だともいえ、要は、安定感のない8月にはなりそうです。

しかし、一番念頭に置いておかなければならないのは、8月は投機の相場だということです。

相場にフロー(資金の流れ)を作る大口投資家は夏休みで不在です。

そんな中、マーケットに残っているのは、売れば必ず買い戻さなければならない、あるいは買えば必ず売り戻さなければならない投機筋ばかりです。

  • ドル/円 1時間足(7/31~8/3)

8月手前ではありましたが、7月31日金曜のドル/円相場など、典型例です。

投機筋が力ずくで売り込み、一時104.20まで下げ、そのために大幅な売り超となり、その後は反発となる中、さらに投機筋が売り上がったため反発は止まらず、ショートの買い戻しが続き急上昇、結局8月3日月曜の東京で106.43近辺をつけました。

なんと、週末を挟んで、2円23銭の値幅があったことになります。

ヘタをすると、これからの薄いマーケットでこうした大立ち回りが繰り返され、マーケットは消耗戦と化す可能性があります。

したがって、大事なことは、マーケットの雰囲気の飲まれないことです。

売りが強い、買いが強いと言っても、それは、あくまでもその場での雰囲気に過ぎません。

利が乗れば、着実に利食い、慎重に様子を見るということが大事だと思います。

非常にやられやすいマーケットだということを認識しておく必要があります。

過去にも、8月がいかに投機的だったかという例はいくつもありますが、たとえば、2018年の8月のユーロ/ドル相場など、良い例だと思います。

  • ユーロ/ドル 日足(2018年8月)

この年の8月の場合、トルコ・ショックだ、米中貿易摩擦だと、もっともらしい理由があって、売り込みました。

つまり、売りの雰囲気が醸成されたわけです。

そして、下げてから、マーケット全体が売りで確信を持つようになり、戻り売りを始め、ショートが瞬く間に膨らんで、しかし下がらないため買い戻しを繰り返し、1カ月通して見ると、綺麗な往って来いになりました。

つまり、重要なポイントとは、いくら説得力のあるような理由があったとしても、一方向へのフローがなければ、トレンド相場にはならないということです。

このような例からお分かりいただけると思いますが、トレンド相場はエモーショナル(感情的)ではなく、もっとロジック(合理性)によって動いているということです。

つまり、雰囲気ではなく、実際のフロー(資金の流れ)があってこそ、トレンドが生まれるというわけです。

年間を通すと、エモーショナルな月と、ロジックの月があります。

どちらが多いかと言えば、ロジックで動いている月の方が多いです。

ロジックというとわかりにくいかもしれませんので、言い換えれば、企業などの決算などによって動いている月が、多いのです。

ざっと上げれば、2月の投資信託の本決算、3月の多くの本邦勢の本決算、6月の欧米勢の中間決算、9月の欧米勢の実質的な下期のスタート、10月の米系ファンドの45日ルール、12月の欧米勢の本決算などがあります。

尚、エモーショナルな月は、1月の新年及び欧米勢の新年度スタート、4月の多くの本邦勢の新年度、7月と8月の夏のホリデーシーズンが挙げられます。

こうしたそれぞれの月の性格が事前にわかっていれば、相場に乗りやすいと言えますので、どうぞ覚えておいてください。