昔、上司から、ある米系ファンドが、そこのトレーダー達に、実際にやらせているロスカット幅算定法を、おまえもやってみろと言われて、ある計算を、実際やってみました。

そのある計算とは、自分が勝ったポジションだけを抽出し、そのポジションを持ってから、利食うまでの間に受けたアゲンスト(不利の)幅の合計、つまりドローダウンの合計を、勝ったポジションの数で割って、平均値を出すというものでした。

良くしたもので、どれぐらいアゲンストになったかは、覚えているものですし、覚えていなければチャートからおおよそ見当がつきます。

過去約半年分を抽出して、平均値を求めたところ、私の場合、なんとたったの35ポイントでした。10ポイントの遊びを作ったとしても、それでも45ポイントですから、いかに相場の流れに乗れていると、アゲンストにならないかがわかります。

尚、データ収集の期間は、もっと短くてもいいと思いますが精度は下がります。

これは、人により、アゲンスト幅の平均値に、多少の差は出ると思いますが、たぶん、あまり極端に大きなアゲンスト幅の平均値が出てくることはないと思います。

このことからわかったことは、45ポイント、あくまでも私の場合ですが、これを越えてアゲンストになるというのは、それは、まず、相場の見方が根本的に誤っていることが考えられます。

しかし、それ以上に多いのは、相場の見方が合っていても、相場に入るタイミングが合っていないということです。

実は、相場の見方は多くの人は合っています。

しかし、この相場に入るタイミングで、苦しんでいることが多いのです。

従って、ご自分の勝ったポジションのアゲンスト幅の平均値を計算してみて、平均値以上にアゲンストになってきたら、いったん、撤退して、様子を見てみることが大事だと思います。

少なくとも、深いストップロスで、我慢することは、避けるべきだと思います。

そうしないと、心身ともに消耗し、たまたま運良く持ち値に戻ったとしても、ホッとしてやめてしまって、骨折り損のくたびれ儲けだったということは、ありがちなことです。

また、ポンド/円など、ボラティリティー(価格変動率)の高い通貨ペアの場合も、同じく45ポイントでやっています。

ただし、一方では、45ポイントは広すぎるというご意見もよく聞きますが、個人的には、これぐらいの余裕がないと、思考がロスカットがつくたびにプツプツと途切れてしまって、相場に乗るリズムが狂うように思います。

実際、45ポイントのロスカットがつくことは、非常に稀です。

そして、いったんロスカットがついたら、熱くなってすぐに再エントリーするのではなく、休むことが大事です。

相場はこれ一回限りではありません。

また、次のチャンスは、すぐにやってきます。

それまでに、執着や焦りや悔しさを、消すことが重要です。

尚、付け加えておきますが、移動平均線の抜けたところにロスカットがあることは、ロスカットを狙っているトレーダーにはお見通しです。

したがって、移動平均線が抜けたあたりにロスカットを入れることは避けるべきでしょう。

また、起死回生の倍返し(ドテン)という手法もあります。

今までのポジションをひっくり返すということです。

絶対に、これがうまくいくという保証はなく、また往復ビンタを食う恐れもあります。

しかし、やってみることで、損失を取り戻し、さらに利益に転じるチャンスもあります。

もし、やると決めたら、即刻やることがコツです。

未練が残るようであれば、やめておくべきでしょう。