10日線や90日線、200日線とかいろいろな期間の移動平均線がありますが、5日移動平均線は一番実戦に役立つとみています。もちろん、日足に限らず、10分足でも、1時間足でも、週足でも、月足でも、期間「5」は役に立ちます。早速、例を挙げて、お話ししましょう。

  • ユーロ/ドル 日足

これは、5月半ば以降のユーロ/ドルの日足です。5日移動平均線だけでなく、それと比較するために10日移動平均線と25日移動平均線も加えています。なお、MA(Moving Average)は、移動平均線の略です。

この3本の移動平均線を比較すると、5日移動平均線が一番日足に絡んでいることがわかります。

まず、チャートの左、つまり過去から3本の移動平均線の推移を見ますと、相場が横ばいの状態のときは、この3本が収束(集まって)していることがわかります。

  • ユーロ/ドル 日足(複数の移動平均線の収束)

この複数の移動平均線の収束は、相場が近々動き出すことを示唆します。そして収束から拡張を始めると、5日移動平均線が一番日足に絡んでというよりも、上昇をピッタリとサポートしていることがわかります。

  • ユーロ/ドル 日足(収束から拡張)

このサポートした状態が続いている間は、上昇相場は順調です。ところが、5日移動平均線の上昇が止まり水平になってくる、言い換えれば日足が横ばいになると、5日移動平均線の今までのサポートとしての役目は弱まり、日足が5日移動平均線を下回ってきます。

  • ユーロ/ドル 日足(5日移動平均線の上昇が止まる)

さらに、5日移動平均線と10日移動平均線がクロスする、つまり5日移動平均線が下向きになってくると、サポートではなく、むしろレジスタンスになっていきます。今度は、下落トレンドでの相場の戻りを上から抑えるようになるわけです。

こうして見てきますと、5日移動平均線と10日移動平均線が最初にクロスし、その後逆にクロスした間が、上昇トレンドの時期だったことがわかります。

  • ユーロ/ドル 日足(上昇トレンドの時期)

そして今度は、長めの25日移動平均線がサポートとして前面にでてきます。

このように、特に5日移動平均線が上昇相場をピッタリとサポートしている時期が最も効率が良く、この時期に上昇トレンドに乗ることが一番リスク少なく利益が出せるわけです。

このトレード法を「Buy and hold(買って持ち続ける)」と言って、内外を問わず注目されています。

そして、しばらく時間をおいてからの相場展開を追跡してみましょう。

  • ユーロ/ドル 日足(その後、再び収束)

やはり、5日移動平均線のサポートとして二役目は終え、むしろレジスタンスとなり、マーケットを下押ししました。

そこに立ちはだかっていた25日移動平均線は、サポートとしての役目を十分果たし、売りを跳ね返して、10日移動平均線以上に反発しました。しかし、この反発の陽線とほぼ同じ長さの陰線が続き、さらに緩み、反発を抑えた格好になっています。

そして、注目しなければならないのは、3つの移動平均線が収束してきていることです。つまり、近い将来、上か下に大きく動く可能性が高いということです。

全くテクニカルではありませんが、6月は欧米勢の中間決算の時期で、例年ユーロ/ドルは買われやすいのですが、6月末の中間決算を終了して7月に入ると、また反落する傾向があります。その意味から、この後下落するのではないかと個人的にはみています。

結果は、時間の経過が教えてくれるものと思います。