7月、8月という夏場の各月の一般的な特徴をお話ししましょう。

【7月】

7月はまず、7月4日が米国の独立記念日です。今年は4日が土曜になるため、3日が振替休日となります。いずれにしても、米独立記念日は、夏のホリデーシーズンの開幕を告げる日となります。

この日、アメリカ各地で花火大会が開かれ、大いに盛り上がります。しかし、トレーダーは7月に休暇を取る人が少なく、8月が夏休みのピークとなります。したがって、7月はまだ結構多くのトレーダーがマーケットに残っています。

一方、投資家大手は、7月から夏休みに入るところが多く、その結果、マーケットはトレーダー(投機筋)中心となりがちです。投機筋中心の相場は、トレンドが形成しづらい傾向があります。なぜなら、投資家が不在のため、一方向へのフロー(資金の流れ)がありません。

そして、投機筋には投機筋の宿命があります。それは、買ったら必ず利食いか損切りのために売らなければなりませんし、売ったら必ず利食いか損切りのために売らなければなりません。

したがって、相場が往って来いになってしまいます。言い換えれば、レンジ相場になりやすくなります。

例として、昨年の7月のドル/円相場を見てみましょう。

  • ドル/円 日足(2019年7月)

5月からの米中貿易摩擦激化にもかかわらず、7月は1円78銭ほどのレンジ相場でした。また、期間中は上がったり下がったり、まさに方向感のない推移だったことがわかります。

ただし、EUR/USDのように、6月に欧米投資家の中間決算があるところは、反動が出ます。1月から5月にできたポジションを6月に手仕舞って決算し、6月末の中間決算が終わると元のトレンドに戻っていることは、昨年2019年の場合でも明白です。

  • EUR/USD 日足(2019年年初~8月初)

【8月】

8月は、夏休みが本格化します。なぜかといえば、子どもさんの夏休みが8月だからということが大きな理由のようです。このへんが、微笑ましいところです。

しかし、2015年の中国株が大暴落したチャイナショックや、2019年のトランプ大統領による対中追加関税引き上げの表明など、マーケットが夏休みシーズンで薄いということもあって8月は結構、大荒れになりがちです。そういう意味では、油断のできない月だと言えます。

あと、季節要因としては、米国債の利金(利息)の円転(円に換える)が結構円高要因になりますので、注意が必要です。

米国債の利金の支払いは、8月15日です。しかし、大手の生命保険会社や企業は為替予約を使って、受け渡しを前倒しして8月1日から順次、円に換えていきます。そして8月15日になると、今度は個人投資家が入金を確認した後、円に換えていきます。ですから、8月初めから20日過ぎまで、この円買いが恒常的に起きますので注意が必要です。

こうした財務上、会計上の理由から動く相場を財務会計相場と呼んでいます。年間を通してみると、6分の5ぐらいの月が財務会計相場の影響を受けていると言っても過言ではありません。逆に7月は、この財務会計相場の影響をほとんど受けない珍しい月でもあります。

いずれにしても、年間で1時期でしか起きないことですので忘れてしまいがちで、やられてから「ああそういえば、去年も同じ時期に同じようなことがあった!」と気づくことが多く、記録しておくことが大事だと思います。

以下、ざっと上げておきますので、ご参考にしてください。

1月: 新年、欧米勢の新年度
2月: 投資信託の決算に伴うレパトリ(資金の本国回帰)
3月: 多くの日本企業の本決算でレパトリ
4月: 多くに日本企業の新年度
5月: 本邦機関投資家運用開始
6月: 欧米勢の中間決算
7月: なし
8月: 米国債の利金の円転
9月: 欧米勢の実質的な下期のスタート
10月: 米系ファンドの45日ルール
11月: 米感謝祭前の手仕舞い
12月: 欧米勢の本決算

なお、その年の特殊要因でこの予定通りにはならない年もありますので、その点はご了解ください。