大相場は、通常の相場より、はるかに値幅が大きく、さらにその大きな値幅を極めて短時間で動いてしまいます。大相場に際して、心しておくことがいくつかあります。
大相場での心得
大相場は、通常の相場より、はるかに値幅が大きく、さらにその大きな値幅を極めて短時間で動いてしまいます。大相場に際して、心しておくことがいくつかあります。
まず、大相場になるには、たとえば、今回のコロナ・ショックのような、それなりの理由がありますので、その原因となったものが、相場にどれほどのインパクトを与えるか、その問題のスケールの大きさを短時間に把握できる力を培っておくことが大事です。
次に、やるべきことのプライオリティー(優先順位)を瞬時につけて、そして速やかに実行することです。
プライオリティーが一番高いものは、もちろん自分のポジションがフェーバー(有利)になっているか、アゲンスト(不利)になっているかを確認し、アゲンストであれば、即刻手仕舞うことです。
ここで、あまりにアゲンストで躊躇すると逃げ場を失い、多大な損失を被ることになりかねませんので、スピード感を持って判断し、迷わず手仕舞うことが必要です。
日頃から、緊急時のやるべきことのプライオリティーを自分なりに決めておくことが大切です。
また、チャートの見方も、通常よりも大づかみで見ることです。相場のスケールが大きいため、短期チャートでは全容がつかめなくなります。ですので、8時間足、日足、週足、月足などの中・長期のチャートを見ることが大切です。
注意すべきは、オシレーター系の分析で、たとえば、ストキャスティックスが、売りすぎ買いすぎを示しても、大相場では、ビッグプレーヤーのロスカットが集中している時だけに、ポジションを投げ終わるまでは、下げ続けるなり、上げ続けるなりします。
こうした投げの相場では、いくらストキャスティックスが、売りすぎ買いすぎを示しても、買い下がり売り上がりはかなりの危険が伴いますので、避けるべきかと思います。
このように、大相場を乗り切るには、自らの全神経を使って相場を見る必要があります。
怪我は軽いうちに直す
特に、大須場では、相場に捕まることも多いです。ポジションを持っていて、このポジションはダメだな(うまくいかない)と感じることがあります。
なぜダメだなと思うのかと言いますと、ポジションを持っていること自体が、安定感がなく、しっくりしたものを感じないからです。
ポジションを持てば、緊張感は必ずありますが、ダメだなと思うポジションには、うまくいったポジションよりはるかに気持ちに余裕がなくなっていることを感じます。
それでも、一回持ってしまうとかわいいポジションになってしまい、ポジションが悪いのではなく、相場が悪いと思うようになると、自分の考え方が間違っていたことを素直に認めることが出来なくなり固執してしまうことで、思わぬ損失を被ることになりがちです。
最初に、このポジションはダメだなと思った時に、早くやめることで発生する損失と、ギリギリまで追い込まれて損切ったことによって発生する損失の間には、雲泥の差があることは容易にお分かり頂けることと思います。
特に、大相場では、スパスパッと気持ちを切り替えて、切るものは切っていかなければなりません。ご自身の感覚をより信じることが大切です。このポジションはダメだなと感じれば、固執せず間髪入れずにやめることです。
怪我は軽いうちに直すことです。相場は、これ一回限りではありません。特に、大相場では、チャンスもリスクもいくらでもあります。前に前に攻めることが大事です。
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水上紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。 詳しくはこちら。