毎年年初は、同じようなことが繰り返されます。
今年は、1月3日の朝、フラッシュクラッシュが起き、ドル/円は、108円台から104円台まで急落後、107円台に急反発したものの、マーケットのセンチメントは、ドル安と印象づける年初となりました。
しかし、このことが、年初の例外的な相場ではなく、過去何度も繰り替えされてきていることです。
ある年の仕事始め、弊社も日本の企業らしく、仕事始めにあたって、新しい年の業績祈願に部長以下ディーラー一同、マイクロバスを仕立て、ディーリングですから、勝負の神様が奉られている神社を三つ程回りました。
その時の相場は、年末からドル/円が下落を開始しており、仕事始めの日も、早朝のオセアニアマーケットで、さらにドル/円は下落し、ディーラー各自も年末からショートポジションをキャリー(保有)していましたから、マイクロバスの車中は和気藹々とした雰囲気でした。
ところが、最初の神社のお参りが終わり、マイクロバスに戻り、レートをチェックした頃から、様子が変わってきました。
ドル/円が反発を開始していました。
残る二つの神社を巡るに連れて、ドル/円は、加速度をつけて上昇していき、車中は重苦しい雰囲気が漂いました。
そして、ディーリングルームに駆け戻ると、ドル/円はさらに上昇しており、既に各ディーラーのショートのポジションの持ち値を実勢値は超していて、全員がアゲンスト(不利)状態に陥っていました。
そして、仕方なく、ひとりやめ、ふたりやめと、ロスカットしていきました。
これは、決して偶然の災難ではなく、英米の投機筋の年末年始の仕掛けが、筋書きどおりに展開したのに過ぎません。
つまり、年末から英米勢はドル/円を売り仕掛けし、薄いマーケットの中、さも下がりそうな形勢で越年させておき、さらに一段三が日明けのオセアニアマーケットで売り込んで、東京勢を売りでマーケットに誘い込んだところを、大きく利食って勝ち逃げしたということでした。
そして、その後残ったのは、ショートポジションだけとなり、その損切り的ショートカバー(買戻し)が玉突き状態となって反騰したわけです。
このように、年末年始は、薄いマーケットを利用して投機筋が暗躍する相場ですので、十分警戒する必要があります。
尚、我らがチームの仕事始めのお賽銭(損失)は、それは半端なものではなかったことを申し添えて起きます。
そして、今年年初のフラッシュクラッシュですが、一説には、トルコリラ/円のロングの強制ロスカットが狙われたようです。
あの1月3日の午前7時台のドル/円相場を、この目で見ていましたが、まさに、薄いマーケットが狙われた、急落でした。
その上、生保など本邦機関投資家が、買いオーダーを年始で油断して入れておかなかったことが、急落を加速させました。
しかし、機関投資家も途中から急落に気づき、泡を食って買いを入れたものですから、反発もあっという間でした。
しかし、フラッシュクラッシュのマーケットの印象は、急落と受け止められ、その後下げるものとマーケットが戻り売りを繰り返したため、むしろ4月までジリ高は続きました。
ということで、昨年は、実にマーケットが翻弄された相場となりましたが、しかし、昨年が例外ではなく、過去の年初に何度も繰り返されていることです。
ひとつ、言えることは、欧米勢にとっては、クリスマスが終われば、新年度であるのに対して、本邦勢にとっては、正月気分に浸り脇を甘くする時だけに、圧倒的に欧米勢に優位であり、本邦勢にとっては実に不利な、状況であるということです。
しかし、だからと言って、そのチャンスを見逃さないのが欧米勢です。