ドル/円の9月相場は、出だしは一本調子の上昇でしたが、FOMCの終わった翌日の19日に失速し、その後はレンジ相場になりました。今のところ、はっきりとした方向性は見いだせません。
一方、ユーロ/ドルは、9月18日から下落トレンドが新たに始まっています。まさに、主役交代を表すような動きです。相場には、主役となる通貨ぺアが現れるものです。
今は、それがユーロ/ドルだと思います。ユーロ/ドルは、巨大なマーケットです。
昔、東京タイムに、機関投資家から2億ユーロ買ってくれと言われて買って、東京タイムですら2pipsも動かなかったことがあり、ユーロマーケットの巨大さに驚いたことがありました。
その巨漢が、今年の7月1日以来これまでで400pips下げてきています。
ひと昔前なら、その倍は下げていてもおかしくはなかったのですが、今時としては動いていると思います。
ただし、徐々に下落のスピードを上げてきていることも確かで、超長期で見ると、1.0400近辺が底割れすると、2000pipsぐらいの下げになる可能性を秘めていると見ています。
昔、ディーラー仲間でチャートを見ていて、このチャートを子供に見せたら、なんていうだろう? やっぱり、下がるというだろうなといったたわいもないことを言っていましたが、まさに、今のユーロ/ドルの超長期チャートを見ますと、その時のことを思い出します。
単純化して見ることが大事だと思います。
なんで、こんなに弱いんだろうと思うほど、ユーロが対ドル対円で下落基調が鮮明です。
もちろん、最近のユーロ圏の経済指標は悪いですし、追加緩和方向であることもわかりますが、9月18日頃から、下落がトレンドとなってきています。
つまり、実際に、投資家の資金がユーロからドルあるいは円に流れてきているものと思われます。
欧米勢の実質的な下期のスタートとなる9月に、投資家が下した結論は、ユーロからの資金の逃避だということではないかと思われます。
そして、いったん結論が下されれば、後はひたすら資金移動するのが、今も昔も投資家らしい動きです。
尚、ここでいう投資家とは、政府系ファンド、年金運用のペンションファンド、生保など機関投資家、そして中央銀行などを指します。
たぶん、年内の相場の中心的テーマは、ユーロ安なのではないかと思います。
そこで、問題なのは、やはりトランプ大統領です。
彼の論理からすれば、EUはユーロ安ドル高にして、対米取引を有利にもっていこうとしているということになります。
同じことは、中国が人民元安ドル高にもっていこうとしているということに呼応していると思います。
逆に言えば、ドル高についていけない通貨達が脱落していっているとも言えますが、それでトランプ大統領は許してはくれないものと思われます。
したがって、米政府によるドル売り介入の可能性は、依然としてあると思われます。
しかし、今のユーロを見ていますと、そんないつ起きるかわからないドル売りユーロ買い介入より、今、できるだけ早くユーロから資金を脱出しなければと、躍起になっているように見えてなりません。
ですから、表面にはまだ出ていないことや、例のドイツ銀行のCDSの問題など、難破船からネズミが大群で逃げ出そうとすることが、水面下で進行している可能性があるのではないかと見ています。
【ご参考】ドイツ銀行のCDS問題
したがって、ユーロ/ドル、ユーロ/円は、よく動きを追っておくことが大事だと思います。
2008年9月のリーマンショックの煽りをもろに受けたのはヨーロッパであり、しかもまだ立ち直れていない、あるいはさらに疲弊しているのがヨーロッパであることは、否定できないと見ています。
ユーロの長期的な下落の可能性は高いと思われます。