10月と言えば、米系ファンドの45日ルールの季節です。これも、結構相場に影響を与えますので、十分ご注意ください。
「米系ファンドの45日ルール」とは、米系ファンドの決算が11月末で、その45日前となる10月15日までに、もし投資家がファンドの解約を希望するのであればこの日までにファンドに意思表示しなくてはならない、というものです。
一方、ファンドの方も解約に備えて、手持ちのポジションを手仕舞って解約資金を用意しなくてはなりません。
したがって、投資家の解約が大きければ、6月の欧米勢の中間決算並みに為替相場を動かしてしまうことがありますので、注意が必要です。
実例を見てみましょう。
これは、昨年9月・10月のドル/円のチャートです。
9月は、欧米勢の9月の実質的な下期のスタートと共に、11月の米中間選挙に向けて、米株価上昇に連れて買い上げられました。
しかし、10月に入ると、米系ファンドの45日ルールが実施されました。
ここで、シカゴIMMポジションを見てみますと、各通貨ペアでのポジションの偏りがわかり、どの通貨で大きく手仕舞いが出るかの目安になります。
昨年のシカゴIMMポジションでは、ユーロが約16千枚のショート、円が約114千枚のショート、ポンドが約61千枚ショートと、ユーロのポジションが極端に少なく、その一方で円のポジションが結構大きかったことから、ドルロング円ショートの手仕舞いが目立ちました。
上記の日足チャートでも、わかりますように、45日ルールの期限となる、10月15日に向けて、ひたすらドル売り円買いがでていたことがわかります。
そして、10月15日が過ぎると、ドル買いが戻ってきています。
さて、それでは今年はどうかと言いますと、今年の現状のシカゴIMMポジションの状況を見てみますと、9月17日時点で、ユーロが約68千枚のショート、円が約24千枚のロング、ポンドが約86千枚のショートとなっています。
これら目安となる通貨の反対取引が45日ルールによって起きる可能性がありますので、ユーロはユーロ買いドル売り、円は、ドル買い円売り、ポンドはポンド買いドル売りがおきるものと思われます。
ただし、今年は、ドル/円のロングポジションの規模は昨年に比べると小さいため、あまり大きな影響にはならないかもしれません。
一方、ユーロとポンドのショートポジションは、昨年に比べて大きく、それぞれの買いが強まる可能性がありますので、注意が必要です。
こうした決算に絡んだ手仕舞いの為替取引は、ファンダメンタルズとは全く関係なく起こります。
問題は、一年に一回しか起こりませんので、うっかりすると忘れていて、やられてしまってから気づくことも多く、それだけに、しっかりとスケジュール管理をするなり、頭に刷り込んでおくことが必要です。
尚、シカゴIMMポジションの枚数(コントラクト)は、通貨によって、金額が違います。
ユーロの1枚は、125,000ユーロ、円は12,500,000円、ポンドは62,500ポンドですので、ご注意ください。