9月に入ってからの、ドル/円のほぼ一本調子の上昇の原因について、テクニカル的に見てみました。
値動き分析からのアプローチ
2時間足で見ますと、9月4日の10時以降これまで、ジリ高相場が、延々と続いています。ご覧のとおり、ジリ高は、右肩上がりのほぼ対角線の形状をしています。
これを一目見ただけで、マーケットのポジションがショートであることがわかります。それがわかるのが、値動き分析です。
そして、値動き分析で、一番よく見られるのが、このジリ高相場です。このジリ高になるには、前提があります。
その前提とは、マーケットが売りを確信するような要人発言や経済指標の結果があることです。
今回の例でいえば、9月3日に8月のISM製造業景況感指数が予想を大きく下回ったことから、もともと9月の米国の利下げ観測が高まっていた時だけに、さらに利下げへの期待が強まり、ドル/円は急落し、それによりさらなるドル売りへの確信を多くのマーケット参加者が持ったわけです。
加えて申し上げれば、5月初めの111円近辺から8月26日に104.円台半ばまで約6円50銭のドル安円高トレンドを経験してきているからこそ、ドルに対する先安観がありました。
ただし、ドルへの先安観があると言っても、安いところを売るのは、勇気が要りますので、戻りを売ろうとします。
しかし、急落した相場は、いったんロングは切れてほぼスクエア(ポジションなし)になったところを売るわけですので、売るということは、マーケットのポジションは、スクエアからショートに偏ることを意味しており、そのためにまた上がる原動力を得ることになります。
こうして、最初に売った人は、下がらず買戻し、その買戻しの買いを別の人が戻り売りするけれども、またショートで下がり切れずに買戻すといったことを繰り返す中で、相場はジリ高になります。
しかも、ジリ高になればなるほど、値ごろ感から戻りで売ろうとするマーケット参加者も増え、上がりながらショートが増えて行くということが起こります。
このジリ高の繰り返しから、手っ取り早く脱却するためには、急騰することです。それによって、ショートポジションが短時間に大幅に解消されれば、ジリ高は止まります。
しかし、それによって、ポジションがスクエアになるだけですので、相場は高止まりするのが一般的です。
本当に下がるためには、マーケットが買い先行でロングポジションを持たなければなりません。今後、こうした買いから入るマーケット参加者が増えてくるかが注目です。
移動平均線からのアプローチ
108円台まで乗せてきた、ドル/円相場の現状を、移動平均線から分析してみました。
107.81近辺にある90日の移動平均線はすでに、レジスタンスではなくサポートになってきています。5日移動平均線も、107.76近辺で鋭角的に上げてきていて、これもサポートです。
また、10日移動平均線や25日移動平均線も上向きになってきておりサポーティブになっています。特に、108.00を超えても危なげなくドリフト(漂う)しているところに、まだ上げは無理をしていないと感じるところです。
ただし、この上、108.70近辺に120日移動平均線、109.45近辺に200日移動平均線という、まさに売りオーダーがあってもおかしくないようなところにレジスタンスがあることも事実です。
ある意味、包囲されたゾーンに入ってきたとも言えるかもしれません。
いずれにしても、いままでリスク回避先とされた米国債(価格)や金からの手仕舞い売りも本格化してきている現状を考えると、ドル/円の上値はまだ試されると考えるのが現実的ではないかと思われます。