過去のチャートをいろいろ見てみますと、9月から12月までが、ひとつのトレーディングシーズンだということがわかります。
もっと具体的に申し上げますと、9月の第1月曜日が米レイバーデーで、これが明けると米国では日本の4月にあたる学校の新学期となります。
おもしろいもので、相場の世界でも、このレイバーデー明けが新しいトレーディングシーズンになります。
今年の場合、9月2日(月)がレイバーデーで、翌日の3日(火)からということになります。
そして、11月と12月前半に英米の金融機関やファンドの本決算を迎えます。
これにより、9月からのトレーディングシーズンの終わりとなります。
通常、11月の第4木曜日、今年で言えば11月28日(木)の米感謝祭がホリデーシーズンの始まりとなり、これをもってトレーディングシーズンの終了とされていますが、チャートで見てみますと、12月の15日前後に実際にはトレーディングシーズンの終わりを告げるようです。
つまり、3カ月半という短い期間ですから、かなり急ぎ足で儲けなくてはならない時期です。
特に、12月15日前後は、一気にポジションをクローズすることがよくあり、相場が大きく動くことが多く、十分注意をしておく必要があります。
このように、トレーディングにもシーズンがあり、トレーディングの始まりの時期、終わる時期がありますので、それを知っておかれると、今の時期を攻め時(前向きの時)と見ているか、手仕舞いの時(後ろ向きの時、守りの時)と見ているかなど、マーケット参加者がどのように捉えているかがわかります。
2005年9月~12月
2005年は、私にとって、忘れもしない秋のトレーディングシーズンでした。
2005年9月半ばから12月前半まで、一本調子の円安相場が続き、プロディーラーはどこかで調整があると見て売り上がった一方、個人投資家層は、「下がったら買い」で対応し、結果として、プロディーラーは惨敗する中、個人投資家層は大勝ちするという、マスコミでも「アマがプロに買った」と言われた相場でした。
しかし、この年の12月14日、米貿易赤字が過去最大になったことを利食いのきっかけとして、海外勢、特にシカゴ筋からパンパンの円ショートを手仕舞う円買いが猛烈に入り、ドル/円では、1日で3円以上の急落を見せ、翌2日間で更に2円の下落となり、クロス円も、総崩れの状態となりました。
実は、シカゴ筋は、9月の段階で、円売りポジションを大量に仕込んでいて、クリスマス前に利食ったということです。
その後も、マーケットの傷は癒えずドルの上値の重い展開が続き、半年後の翌年2006年5月17日に108.97の安値を見たことで、やっとアク抜けし上昇トレンドに転じました。
当時は、まだ、ポジションがアゲンスト(不利)になると、「布団をかぶってやり過ごす」とか「(ポジションを)冷蔵庫に入れる」とかして、急場を凌ごうとする方が多かったと思います。
しかし、それは、痛みを和らげるかもしれませんが、あくまでも対症療法でしかありません。
傷は、癒えずに長引くばかりです。
「原因は元から断つ」、つまり、痛みは伴いますが、ポジションを切るということが大事な事だということを、教えてくれたように思います。
それから、15年近くが経ち、個人投資家の方々のマインドもかなり変わったと思います。
いすれにしましても、有事への対応として、私から言えることは、事前に有事の際の初期動作を決めておくことです。
たとえば、アゲンストのポジションなら、レートにこだわらずすぐに切ると決めておくことや、必ずストップロスを入れることなど。
そして、いざ現実となった時には、事前に決めていた初期動作を、躊躇なく速やかに実行に移すことです。