マーケットの舞台裏を垣間見ると、また相場がおもしろくなるものです。
月曜東京午前9時
8月1日に、トランプ大統領が対中制裁関税第4弾を発表して以来、リスク回避の円買いが強まり、特に8月5日月曜午前9時のドル/円の売り圧力には驚きでした。
106.50以下、結構買いがあったと思うのですが、全く引っかかることもなく下げ、下げ止まると今度は、戻りが弱く、安値圏に張りついていました。
これが意味するのは、要は、ロングの投げが相当出て、ロングが投げ終わるとスクエア(ポジションなし)になったため、反発力もなく、安値圏を維持したということです。
やはり、107.00~109.00近辺のレンジと見て、逆張りをしていたマーケット参加者が多かったものと思われます。
それが、よくあることですが、8月2日金曜日のニューヨーククローズが106.59となり、日足の実体(ロウソク足の寄り付きと引け値の間の太い部分)で、レンジを割り込んだことで、買い下がっていたビッグプレーヤー(相当大きくポジションを張っている大口投機筋)は、週末、考えた末に、これは切るしかないと結論を出したのだと思います。
そして、月曜9時の東京オープンを待ちました。
なぜなら、大口のロングを投げるとしたら、一番ドル/円の流動性が高い東京9時台に決行するのがベストだからです。
こういう大口の投げは、3大市場のオープニングの頃に出ることが多く、特に月曜の東京オープンで手仕舞ってくるケースは多いです。
最近こそ、それほど動かなくなった米雇用統計ですが、以前はやはり、思惑が外れた翌週月曜の東京のオープン前後で大々的に手仕舞ってくる例はよくありました。
唐突にドカンと今回の場合でいえば売ってきたら、そういう背景があると思ってまず間違いはありません。
ショートスクイズ
ショートスクイズとは、ショート筋のポジションを損切らせようと買い上げる短期のトレーディングスタイルで、ロンドンオープン前後によく起きます。
そのメカニズムは、以下の通りです。
一般に東京では、輸出企業やオプション絡みの売りオーダーがよく見受けられます。
東京勢は、ある水準に売りオーダーがあるらしいとなると、その売りオーダーをつぶすことよりも、売りオーダーの手前で売って(壁にして売ると言います)、ちょっとでも下がったら利食いの買戻しをしようとします。
しかし、往々にして起きることは、これをやりすぎてしまうと、ショートポジションが積み上がってしまって下がらなくなります。
ロンドンが参戦してくると、彼らはそうした東京の習性を熟知していますので、東京勢が壁にして売ってショートになっていると嗅ぎつけると、その東京勢のショートポジションを潰しにかかり、あえて東京勢の心の支えにしている売りオーダーの手前を大きく買い、東京勢のショートポジションをスクイズ(崩し)しようとします。
そして、多くの場合、ロンドン勢に軍配が上がり、売りオーダーをこなされ、東京勢が万歳してショートを買戻しますが、依然としてショートポジションが残っているようなら、それでは終わらず、さらに延々と買い上げていきます。
しかし、やはり終わりはあって、通常、夏時間なら午後8時前後に利食いが出て、いったん小緩みます。
なぜ、この時間かと言えば、午後9時にニューヨークが参入してくるため、その前に、いったん利益を確定しようとするためです。
ただし、ニューヨークもさらにショートスクイズをしようとする時もあり、この時は、引き続き買い上げられることもあります。
尚、ニューヨークもショートスクイズに参入してきた時は、ニューヨーククローズまでには手仕舞ってくるのが一般的です。
この主にロンドン勢の手口が、ショートスクイズの典型的な動きで、頻繁に観測され、個人的には、東京勢ももう少し学習すれば良いのにと思っています。