ユーロ/円の週足を見てみますと、2018年2月から下落を始め、最初の内は、上下動も大きかったですが、今年の4月以降は、戻りらしい戻りもないままに下げています。
当面、1月3日のフラッシュクラッシュの時の安値117.81近辺を目指すものと見ています。
さて、どうして、このようにほぼ一本調子でユーロ/円が下落してきたかですが、ここで、ドイツと日本の10年物国債の利回りは比較してみたいと思います。
ドイツの10年債利回りは、2018年2月頃にピークを打って反落を始め、これまでに1%以上の低下を見ています。
一方、日本の10年物利回りは、横ばいから低下に移っているとは言え、その間の下落幅は0.3%ほどに止まっており、ほぼ横ばいです。
つまり、日独の金利差が、当初ドイツの利回りの方が高く日本の利回りの方が低かったのですが、これが逆転しています。
さらに申し上げれば、日本国債の利回りの変動はわずかですので、ドイツ国債の利回りに連動してユーロ/円相場が動いているということが、さらに2015年1月以降のドイツ国債の利回り推移を見ますとはっきりしてきます。
このように、2015年1月以降のドイツ国債10年物利回りとユーロ/円の月足がほぼ相関して動いていることがわかります。
さて、7月25日のECB理事会では、政策は据え置きとなりましたが、声明では、利下げや追加緩和再開の姿勢を強く打ち出し、これにより、一時、ユーロ/円は120.06まで下落しました。
ところが、ドラギECB総裁は定例記者会見で、緩和姿勢を強調したものの、景気後退の可能性は否定しており、十分緩和的ではなかったことから、緩和期待は急速に後退しました。
そのため、ユーロ/円のショートを持っていた多くのマーケット参加者は、損失を確定しようと買いに走ったため相場は121.37まで急騰しました。
しかし、この動きも長い目では一過性のものと思われます。
今後ですが、基本的にユーロ/円は下落を続けるものと見ています。
月足で見ますと、既に申し上げました、1月3日のフラッシュクラッシュの時の安値117.81近辺もサポートではありますが、さらに112.00近辺に向けて下落を続けるものと思われます。
112.00近辺は強いサポートですので、簡単にはブレイクはしないとは思いますが、もしこれをしっかりとブレイクすると、100.00を目指すことになると見ています。
2012年から形成してきた月足の三角保ち合い(もちあい)は、すでに5月に下にブレイクしています。
まだまだ、ユーロ/円の下落相場は、これからだと思います。
いずれにしても、ドイツ国債10年物利回りの推移には目が離せません。
ただし、ユーロ/円は、ほぼ100%投機通貨ペアですので、下げ止まったら、強烈な買戻しが起きますので、利食えたらしっかり利食うことが大事だと思います。
なお、ユーロ/円は、ドル/円とユーロ/ドルの合成によってできた(ドル/円×ユーロ/ドル)通貨ペアで、往々にして、ドル/円の見通しと、ユーロ/ドルの見通しの結果から総合的にユーロ/円の見通しを導き出そうと、私などしがちです。
しかし、どうも、ユーロ/円単体で相場観を持った方が、今の動きはわかりやすいように、現在思っています。
それも、先にも述べましたように、ドイツ国債10年物利回りとの連動性が高いという特性からも、うなずけるものがあると思います。