今週末には、6月になります。6月は、欧米勢にとって、大変重要な月です。なぜなら、6月末は、欧米勢の中間決算になるためです。
この欧米勢の中間決算につきましては、以前にも、お話したことがありますが、為替相場でも特にユーロ/ドル相場に多大な影響を及ぼします。
このことを知っているか、知らないかで、トレーディングの成績にも結構影響を及ぼす上に、年に一度のことだけに忘れてしまい、損失を出してから気づいて、悔しい思いをすることも多々ありますので、備忘録の意味でお話ししておきたいと思います。
中間決算では、投資家がそれまでキャリー(保有)してきたポジションを、実際に反対売買をすることによって、損益の確定を行います。
欧米勢の上期は、1月から6月なのに対して、下期は表向き7月から12月になりますが、下期は、7月、8月は夏休みの時期であり、また12月後半はクリスマス休暇ということで、実働日数は上期の方がはるかに長く、その分決算に関わる売買の額も上期の方が大きくなります。
相場はファンダメンタルズによってできていると思われがちですが、それだけでなく、こうした決算のような財務会計上のことからも大きく影響を受けています。
中でも、6月の欧米勢の中間決算は、財務会計で相場に影響を及ぼす中では、最大級のものだと言えます。
それでは、一昨年、昨年の、6月前後の相場で、どのような影響があったか、具体的にチャートで見てみましょう。
2017年は、6月前は上昇トレンドでした。
しかし、6月に入り、決算絡みの反対売買によって上昇が止められ、決算処理が一服した6月末から、上昇が再開しています。
一方、2018年は、6月前は下落トレンドでした。
しかし、6月の中間決算で下落が止められ、いったん決算の反対売買から買われ、それが一巡すると反落して横ばい相場となりました。
このように、どちらの年も、6月は、中間決算の影響をしっかりと受けていることがわかります。
どちらにも言えることですが、6月前までの、ファンダメンタルズをベースにした相場観は、6月の中間決算では通用しないということです。
少なくとも言えることは、6月前の相場観のままで、中間決算を迎えると、相場を見失ってしまいますので、注意が必要です。
これが、欧米の中間決算とユーロ/ドルの関係ですが、同様なことが、日本の3月とドル/円相場にも言えます。
つまり、3月は、多くの日本企業や金融機関が本決算を迎えます。
この時、レパトリ(レパトリエーション、資金の本国回帰)が行われます。
レパトリとは、海外で投資していた資金を、日本に戻して、円に換えて決算するということで、ドル売り円買いが発生します。
これも、2018年、2019年の実例を見てみましょう。
2018年は、3月後半に、レパトリのドル売り円買いが集中していることがわかります。
2019年は、1月3日にフラッシュ・クラッシュ(大荒れ相場)あり、その後はジリ高相場になりましたが、それでも3月後半には、レパトリのドル売り円買いが集中していることがわかります。
6月の欧米の中間決算、そして、3月の日本の本決算と見てきましたが、いかに決算と言った財務会計が、相場に影響を与えているかが、お分かり頂けたかと思います。
ですので、ファンダメンタルズ分析と共に、年間の財務会計のスケジュールに熟知することも、相場を張る上で、大変重要なことだということです。