相場の急騰・急落は、ロスカットの集中によって起きています。
たとえば、マーケットのポジションがショートに偏っている時に、思いもよらぬドル買いのニュースなり、指標結果によって、マーケットは損失を出来るだけ最小限に抑えようと買いが殺到し、急騰します。
一方、マーケットのポジションがロングに偏っている時に、思いもよらぬドル売りのニュースなり、指標結果によって、マーケットは損失を出来るだけ最小限に抑えようと売りが殺到し、急落します。
これが、急騰・急落のメカニズムです。
しかし、これはあくまでも、急騰・急落の現象面について語っているのに過ぎません。
相場が、こうした急騰・急落するほどに、一方にポジションを傾けている前提には、過信であり油断が存在します。
過信は、かなりの確率で相場はこうなるだろうと信じ込むこと、これはある意味信念ですから、破れても致し方ない部分があります。
問題は、油断です。
マーケットが身構えている時には、相場は動きません。
しかし、マーケットが油断をしている時に、突発的な事件や出来事があると相場は動き出し、パニック的な売りなり買いなりが大量に出て、相場は大いに動きます。
したがって、ポジションを持っている限り、100%の緊張感を常に持てとは申しませんが、少なくとも心の片隅では、緊張感は持っておく必要があります。
それでは、どのように心の片隅で緊張感を持っておけば良いのか、具体的にお話しましょう。
それは、間があいても良いですから、レートチェックを定期的に行うことが大事です。
レートチェックの際に、事前に自分がイメージするレートを頭に浮かべておきます。
そして、実際のレートと見比べてみて、乖離している時には、なにが原因かをできるだけ確認することです。
原因を調べるには、各種マーケットコメントが役立つと思います。
要は、相場の流れを、大まかで結構ですから、常に掴んでおくことによって、油断しない姿勢を保つことがトレーディングには必要です。
しかし、そんな心の余裕を与えないで起きる異変もあります。
最近異変の最たる事例として、忘れられないのは、1月3日の108円台後半から104円台まで急落して反発した、俗に言うフラッシュ・クラッシュです。
これは、巧妙に計画されたものだと思います。
たぶん、仕組んだのは欧米勢だと思います。
というのも、クリスマスを終え、翌26日のイギリスのボクシングデーも終え、翌27日が欧米勢との新年度の始まりです。
この日、111円台にあったドル/円は、売られ始めてじり安となり、年を越して、まだ日本が三が日の3日、しかも時間は、マーケットが最も薄い日本時間の午前7時台のシドニータイム、ここでものの30分もかからずに、4円も落されたわけです。
これぞ、究極の油断の時を狙われたわけです。
そして、これが仕手であったことがわかるのは、特段下がるべき理由もニュースもなかったということです。
つまり、一番動かしやすいタイミングが狙われたのに過ぎません。
しかし、この後遺症は大きく、結局ドル/円は、長らくジリ高相場を続けました。
相場の世界には、落とし穴がいくつも掘られています。
その穴に落ちないように、歩いていくためには、十二分の慎重さが必要です。
そのために、身構えるということを見につける必要がどうしてもあります。
あるかもしれない色々な場合を想定し、その中でも実際になりそうなものに優先順位をつけて備えておくことが重要です。
でなければ、生き残ることはできません。
それは、動植物の世界の生存競争では当たり前のことだと思います。