今年は元号が新しくなるということで、5月のゴールデンウィークが異例の10連休となります。
そして、その10連休のスタートをこの土曜日に控え、トレーダーとして備えておくべきことについて、お話ししたいと思います。
ドル/円は、4月に入ってこれまで、1円38銭幅という、極めて狭いレンジ相場となっています。
それは、4月で新年度になったと言っても、一般に、企業や機関投資家の新年度の方針を固まるのが、早くても4月後半で、それまでは、マーケットには、短期の売り買いに終始する投機筋しかいないため、方向感が出ない傾向にあるからです。
しかし、今年の場合、4月27日から5月6日まで異例の10連休となり、市場流動性(市場での交換のしやすさ)が極めて低下するものと思われ、それを狙って、大きく仕掛けられる可能性があり、十分な警戒が必要です。
過去1年を振り返ってみましても、記憶に残る仕手筋によって大きく相場が動いた時期がありました。
まず、昨年8月でしたが、米中貿易摩擦の激化とトルコショックを材料に8月初めから、リスク回避のドル買いからユーロ/ドルが売られ、1.17近辺から、8月半ばには1.13近辺まで、約400ポイントの急落を見ました。
ところが、8月後半になると、それぞれの事態に大きな変化は見られなかったものの、大きく買い戻され、完全に開いた穴が埋められた格好になりました。
この時の相場でわかることは、北半球が全般にわたって夏休みたけなわとなり、マーケットの市場流動性が極めて低下したところを仕手筋に狙われたということです。
そして、記憶に未だに新しいのが、今年の1月3日のドル/円の急落相場でした。
実際は、欧米の新年度となる、クリスマス明けの12月27日に111円台から仕掛けられて下げてきたもようですが、1月に入り、日本がまだ三が日だった1月3日の手薄なドル/円マーケットが狙われました。
しかも、日本時間午前7時台のシドニーマーケットで、ものの30分もかからないうちに、108円台後半から104円台まで急落しました。その上、その後反発し、往って来いの相場となりました。この時は、理由らしい理由さえありませんでした。
あえて言えば、日本不在の極めて市場流動性が低下したドル/円マーケットが狙われたということです。
ここ一年のふたつの例でも挙げましたように、仕手筋に狙われる条件として、市場流動性が大きく低下した時に狙われています。
そして、今度は、日本は異例の10連休を迎えようとしていて、ドル/円の市場流動性が大幅に低下します。したがって、10連休中は円絡みのポジション管理には、十分注意する必要があるわけです。
尚、例として、下落相場を上げましたが、必ずしも売りで仕掛けられるばかりではなく、買いで仕掛けられる場合もありますので、両方向に目を光らせなくてはなりません。
大事な事は、油断をしないということです。相場はマーケットの油断で動くと言っても過言ではないと思っています。マーケットが身構えている時には、相場は動きません。
しかし、マーケットが油断をしている時に、突発的な事件や出来事があると相場は動き出し、パニック的な売りなり買いなりが大量に出て、相場は大いに動きます。
したがって、ポジションを持っている限り、100%の緊張感を常に持てとは申しませんが、少なくとも心の片隅では、緊張感は持っておく必要があります。
間があいても良いですから、レートチェックを定期的に行うことが大事です。
レートチェックの際に、事前に自分がイメージするレートを頭に浮かべておきます。
そして、実際のレートと見比べてみて、乖離している時には、なにが原因かをできるだけ確認することです。
要は、相場の流れを、大まかで結構ですから、常に掴んでおくことによって、油断しない姿勢を保つことがトレーディングには必要です。