4月は、日本人社会にとっては大変重要な月です。なぜなら、企業で言えば新年度、学生にとっては新学期、社会全体としても気持ちを新たにする時だからです。
そうした時期、「(気持ちも新たに)さあ、やるぞ!」と気合が入るもので、またそれは気分を一新させるためには、一般的に大変良いことだと捉えられているのではないかと思われます。
ところが、相場の世界では、この「さあ、やるぞ!」は、決して良いことではありません。
その理由を述べるにあたって、まず、ドル/円の4月のマーケット環境をお話ししなければなりません。
ドル/円の4月のマーケット環境
4月になって新年度に入っても、企業や機関投資家の新年度の方針が固まるのは、いろいろな検討を重ねた上で、早くても4月後半になります。
その間、マーケットに残るのは、売ったら利食いか損切りのために買わなければならない、また買ったら利食いか損切りのために売らなければならない投機筋です。
問題は、こうしたマーケット環境について、当事者である投機筋の大方が認識しておらず、良くあるのは、前月の3月あるいは4月初めの相場の方向性を、ひたすら追随しようとすることです。
そのため、相場は、その時々のポジションの偏りによって、上がったり下がったりを繰り返すことになります。
要するに、レンジ相場に陥りやすいということで、相場が乱高下し、損失を出しやすくなりますので、細心の注意が必要です。
新年度で、心情的には、プラスから始めたいと思うものの、実態はマイナスからのスタートになることが、往々にしてあります。
それでは、どうすれば良いかですが、ドル/円に関しては、相場から一歩引いて見ることが大切です。
既に申し上げましたように、相場にフロー(資金の流れ)を作ってくれる企業や機関投資家が動かない以上、敢えて、投機筋同士の足の引っ張り合い相場に、どっぷりとつかる必要はありません。
動き出すタイミングを待つべきだと思います。
特に、今年の場合は、5月に10連休という、海外勢が攻めて来るのに、おあつらえ向きの相場局面がありますので、その時を待つことです。
今年の年初を、思い出してください。
日本が三が日になっていた1月3日に、海外勢の仕掛けによって、109円台から104円台に、ドル/円相場が急落したことを。
海外勢は、相場を動かすタイミングを狙っているのです。
そこに、恰好の4月末から5月前半に掛けての10連休がやってくるのですから、そのタイミングを狙わないはずがありません。
ただし、1月3日の急落の記憶も新しいですから、日本勢も身構えているでしょうから、1月3日ほどの大相場にはならないとは思いますが、それでも狙ってくるものと思います。
以下のチャートが、私がイメージしている、これから5月に向けてのドル/円相場です。
要は、4月レンジで、4月末あるいは5月初めから、ドル安円高が再開というシナリオで見ています。
尚、錯乱要因としては、4月中にでも、大々的なリスク回避が必要なイギリスのEUからの合意なき離脱のような事件やイベントが起きた場合、リスク回避の円買いが定着しているだけに、相当量の円買いが発生するものと思われ、そうなると5月前後を待たずして、大きく円高に向かう可能性があります。
今年は、リスクの多い年だと見ています。
その意味からは、常に円高リスクに身構えておく必要があります。
たとえば、3月22日に欧米のPMI(購買担当者景気指数)が予想より悪かったことで、強烈なリスク回避の円買いが起きました。
まったく、直接には日本には関係のないことでも、円の大量買いが突如として起きる時代だということを、くれぐれも認識しておかなければなりません。
油断せず、身構えておくことです。