ボリンジャーファイブとそのトレーディング手法は、私にとって、スペインのバルセロナにあるサクラダ・ファミリア(ガウディの設計による1882年着工で未完成のカトリック教会)のようなものです。

つまり、未完の課題です。

ボリンジャーファイブとは

ボリンジャーファイブとは、通常のボリンジャーバンドが期間を20とか21にするのに対して、期間を5にし、偏差を2にして、相場の動くタイミングを見るものです。上下のバンドが収束し平行になると、動くタイミングを示します。

ただし、方向はわからないので、相場観とか他の分析ツールとの併用が必要です。個人的には、適当な他の分析ツールが見つからず、自分の相場観と併用しています。そういう意味では、裁量取引を補強しているのに過ぎないとも言えます。

実際、動くタイミングはわかっても、方向を見るのは、結構、難しいものがあります。今のところ、自分なりに発見したことが、ふたつほどあります。

ひとつは、下から上に上下のバンドが収束して平行になる時は下がる場合多く、上から下に上下のバンドが収束して平行になると上がる場合が多いということです。

  • ボリンジャーファイブ収束(下から上に上下のバンドが収束して平行になる)

  • ボリンジャーファイブ発動(収束して平行になった後、下方向にレンジブレイク)

もうひとつは、寄り付きが上寄りだと上げ、下寄りだと下げという場合も多いですが、絶対にというものでもありません。ただ、動くタイミングを示すという点に置いては、かなり確率は高いと言えます。

なぜ、そこまで、動くタイミングにこだわるかと申しますと、相場は方向ももちろん大事ですが、同時に動くタイミングを間違えると手ひどい目に遭うからです。

よくあるケースは、相場の先が見えた時です。この閃きは、多くの場合、当たっています。ところが、思わず閃いたとばかりに相場に飛び込むと、実は多くの他のトレーダーも同じように閃いて飛び込んできます。

そのために、極短期間にポジションが一方に偏り、その反動で大きく揺り戻し、つまり相場のアヤが起こり、振り落とされるということが頻繁に起きています。だからこそ、本当に相場が動き出すタイミングでエントリーするということが大事になるわけです。

そして、その一助となるのが、ボリンジャーファイブということになります。そういうわけで、このチャートを、過去25年ぐらい見続けており、その精度の高さはよく分かっています。

また、興味深いことは、事前に何かが起こるという、つまり予知してサインを送ってくるような時もあって、実に不思議なところです。

なお、まだボリンジャーファイブの上下のバンドが収束から平行になって、レンジをブレイクしていなくても、最近ではポジションを張っています。つまり、これまでの経験から、動く方向を先読みしてポジションを張るディレクショナルトリガーと呼んでいる手法で、トレードしています。

なぜなら、以前は、上下のバンドのいずれかにブレイクしたら、それに乗るというリバースエントリーという手法を使っていたのですが、現状レートから、ブレイクしてエントリーするまでの値幅の期待収益がとれないため、その部分をとりに行くディレクショナルトリガーという手法をとるようになりました。

そして、ディレクショナルトリガーをやってわかったことは、レンジブレイクして逆指値でエントリーする水準とは、実は強いレジスタンスでありサポート、つまり強い抵抗線だということです。

ですから、リバースエントリーで入るポイントは、ディレクショナルトリガーでは利食い点のひとつだということです。

このように、いろいろな発見が、今でも出てくるのがボリンジャーファイブで、奥が深いです。

いずれにしても、ボリンジャーファイブとその手法は、まだまだ、研究する余地がたくさんあるというのが現状です。

水上紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。詳しくはこちら