今まで、風説の流布になることを恐れて、申し上げてきませんでしたが、今後、リスクが高まる可能性がありますので、大きなリスクについて、お話ししたいと思います。
今回、このリスクを取り上げるに至ったのは、単なる観測記事ではなく信頼性の極めて高いロイターでも、この件について記事に取り上げていることから、お話しする次第です。
実は、昨日今日始まったことではなく、ある問題がドイツ最大の民間銀行であるドイツ銀行にあります。それはCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)というデリバティブ取引です。このデリバティブ取引を設定した国・企業が破たんするとドイツ銀行が借金の肩代わりをするというものです。
問題は、ドイツ銀行が保有するこのデリバティブ残高が、控えめに見ても空前の約5500兆円もあるということです。デリバティブ残高の5500兆円とはどれぐらいの大きさかといえば、ドイツの年間のGDPが約400兆円ですから、ドイツのGDPの約14倍の規模です。言い換えれば、ドイツの14年分のGDPに相当する残高になっているということです。
破綻しなければ、ドイツ銀行の丸儲けなのですが、破たんしたら借金の肩代わりをしなければなりません。そして、今、このデリバティブが問題になっているのは、ブレグジットの期限が迫っていることです。
もし、イギリスが合意なき離脱となると、連鎖的にどこかの国・企業が破たんし、CDSを発動することになって、その結果ドイツ銀行の破たんにつながる可能性があるということです。
この結果、リーマンショック級あるいはそれ以上の混乱がおきる可能性があります。
これが、現実になると、ユーロ/ドル、ユーロ/円、そしてドル/円は、リスク回避のために急落するものと見ており、大きな相場変動が予想されます。
因みに、2008年9月のリーマンショックの時にも、大幅なリスク回避の動きが出て、ユーロ/ドルは2カ月間で1900ポイント、ユーロ/円は5カ月間で48円、ドル/円は5カ月間で22円の急落を見ました。
リーマンショックの場合、同年3月にベア・スターンズが行き詰まったのが前兆となり、ある意味、それから約6カ月の心の準備ができました。
しかし、ドイツ銀行の場合、イギリスの同意なき離脱をすると、CDSを取り交わした国・企業の破たんがドミノ倒し的に瞬く間に波及する恐れがあり、リーマンショックの時のような心の準備を持つ余裕がないままに破たんを迎える可能性があります。
今後、あのリーマンショックより大きなショックがあるだろうかと思われるかもしれません。
しかし、過去にも最大と言われたショックを上回って、新たなショックは起きてきています。
大事なことは、油断せず身構えておくことです。
なお、不測の事態が実際に発生した場合には、一般的にひとつのパニックに対するマーケットの反応パターンがあります。
●パニック発生当日、マーケットは無防備のため過剰反応を起し、パニック的な相場展開となる。
●2日目、マーケットは発生した事態に身構えてくるが、まだ不安心理は強く、不安定な状況が続く。
●3日目、マーケットも動揺から立ち直り、平静を取り戻し始め、パニックに対してヘッジしていたポジションを調整する。
おおむね、パニック発生時はこの3日間パターンで展開すると見ておいて良いのではないかと思いますので、心の準備のために覚えておかれると良いかと思います。