年初早々の東京不在の1月3日の東京市場で、ドル/円は急落。
104円台に突入したものの、FX業者によって、安値も異なり、いったいいくらまで下げたのかも皆目見当がつきませんでした。
私は、1月2日から新年度を迎えた海外市場に合わせて、2日から通常業務に入っておりましたが、2日当日も、ヒタヒタとドル/円は109円台後半から108円台後半に下げていました。
そして、忘れもしない、1月3日の朝7時台、ほんのわずかな時間、スクリーンから目を離したその瞬間、108円台から104円台に急落、スクリーンに再び目をやった時には、何が起きているのか、目を疑いました。
しかし、その後の戻りも早く、106円台、107円台と戻していきました。ただし、マーケット参加者の目にはこの急落の残像が焼き付きました。
私が、この時思ったのは、犯人が誰かは知りませんが、何者かによって、年初の薄いマーケットで、ロング筋のロスカットが一気に刈り取られたということでした。
そして、さらに思ったことは、年初の相場の本質はこの瞬間で実は終わっていて、これから始まる1月の相場は、まさに下がったことによって、この相場は下げだと確信した多くのマーケット参加者の意識によって作られていく残務の相場だろうということでした。
つまり、マーケットの大勢が、上げだ下げだと意識するのは、上げた相場あるいは下げた相場を見てから認知するものです。
そして、今回は、大幅な下げを見て、下げだと大勢は確信し、それからやることは、大方の相場と同じで、下げたところで売るのは怖いから、戻りを売ろうとします。
そして、延々と戻り売りが続き、マーケットのポジションもショートが積み上がり、それでも下がらないため、買戻しに水準を上げ高止まりしていきます。
そして、この段階になると、どうもこれは、ショートにマーケットはなっているようだからと、ショートスクイズ(買い上げて、ショートポジションを買い戻させようとする)が出るに至って、やっとマーケットのセンチメントを売り一辺倒から、買いのセンチメントも加わり一枚岩ではなくなったと言えます。
ただし、一枚岩でなくなったことで、膠着していた相場が動きやすくなったと言えます。
今回の場合、高値圏に張り付いたことから、一部上を窺う動きにもなりました。
しかし、110.00が、相当に重く、その後、30日のFOMCで、FRBの利上げ慎重姿勢が改めて確認されたことで、反落に転ずることになりました。
そして、下落相場の定石を踏んだ、二番底を見に行こうとするタイミングで1月を終えました。
この場合、注意が必要なのは、一番底の定義ですが、要は1月3日の実体(ロウソク足の寄り付きと引け値の間のふち部分)安値、つまり3日の引け値107.67であり、これを改めて二番底として試すということになります。
この107.67近辺まで行き着けるか、あるいは、下回って続落するかによって、次の展開が決まってきます。
ざっと、1月相場を振り返りましたが、申し上げたいことは、マーケットの心の移ろいはポジションに表れ、上値の重い時期、買戻しの時期、心変わりして上値を試そうとする時期、改めて下値を試す時期と変化しており、要するに相場とは心の移ろいを反映するものだということが、お分かり頂けることと思います。
そこで言えることは、結局大勢と同じように行動するのではなく、大勢の動きを客観視しながら先手を打つことが大事だということではないかと思います。
相場の格言に、「人の行く裏に道あり花の山」というものがありますが、まさにその境地ではないかと思っています。