相場が急落していったん底を見て(一番底)反発するも、その後、再び下を見に行き、底を形成することを二番底と言います。
もちろん、相場には一番底からVの字で反発する場合、あるいは二番底では終わらず、さらに下落する場合などもありますが、相場形成の基本としては、二番底をよく理解しておくことが大事です。
二番底は、たとえて言えば、ボールを床に落として、いったん跳ね返るけれど、その後放物線を描くように再び床に落下するようにして形成されるもので、相場形成では、ごく自然な流れだと言えます。
一番底と同じ水準まで下げて跳ね返るのが、教科書的です。下図は、左が一番底、右が二番底で、これは、ダブル・ボトムとも言います。
しかし、二番底が一番底の水準までには至らず跳ね返る場合もあり、それは売り過ぎてショートになっているものと思われます。
それに対して、一番底の水準に止まれず、さらに下落する場合もあり、これは、一番底からのリバウンドが、単なる下げの踊り場に過ぎず、さらに下落する途上にあったということになります。
こうなると、大抵の場合は、二番底で拾おうとした勢力がすべて、買いがついてさらに下げたことによって、持ち値の悪いロングを抱えることになり、さらに下げ足が速いと、こうしたロングが投げに回り、下げを加速させることになります。
なお、ロウソク足の見方ですが、ヒゲ部分ではなく、実体(ロウソク足の寄り付きと引け値の間の太い部分)で見ています。
いずれにせよ、一番底形成されると、大方の場合、二番底形成に向かうものと見て良いように思います。
逆に言えば、一番底のリバウンドで、下落相場が終わることは、まずないと認識することが、非常に大事で、よく覚えておいていただきたい点です。
それでは、最近の事例を見てみましょう。
ご存じのように、1月3日に、ドル/円、クロス円が大急落をした後の動きを見てみたいと思います。1月3日に、いずれも長い下ヒゲが出現していますが、二番底はあくまでも実体部分で見ます。
まず、ドル/円です。一番底から二番底に移る際の反発が限られていましたが、一番底に至ることなく、反発となりました。
次に、ユーロ/円の日足チャートです。ユーロ/円は、一番底からそれなりにリバウンドし、再度下げようとしましたが、下げ切れず反発となりました。
そして、ポンド/円に至っては、一番底からの反発後、わずかに押しましたが、その後反発が本格化しています。
どうして、こんなに二番底が未熟なのかと言えば、既述の二番底が一番底の水準に至らなかった場合と同じで、要は売り過ぎているため下がり切れなかったと言えます。
つまり、どれだけ1月3日のドル/円、クロス円の急落が、マーケットの意識に残像として残る鮮烈なものだったかということです。その調整を、現在やっているということです。
しかし、今年は、トランプ大統領の暴走、混迷を深めるブレグジット、米中問題、イタリアの財政問題、フランスとドイツの政治問題など、リスクの高い年と見ており、為替ではリスク回避と言えば、円買いですから、今の調整が一巡すれば、今後、また、ドル/円、クロス円での円買いが強まるものと見ています。
何よりも大事なことは、油断をしないことです。
今回の事例でも、二番底が一番底より浅くなっている大きな理油は、一番底は油断をして脇を甘くしていますから、パニックとなり大きく急落しましたが、一度パニックを経験した二番底ともなると、皆身構えていますから、相場は崩れなくなります。
ですから、基本的には、ポジションを持っていたら、油断は禁物だということになるわけです。