今年は結構な大相場で、今までであれば、ここをブレイクすれば下がるというところが下がらず、反発するケースが大きく2例ありました。そこから学ぶ点は多いと思います。
まず、1例目ですが、今年の8月のユーロ/ドルです。
昨年7月から形成していた大きなヘッド・アンド・ショルダーが、この8月、米中貿易摩擦とトルコ・ショックを受けて、下にブレイクしました。
これにより、テクニカル的にはヘッドとネックの差が1000ポイント近くありましたので、ネックラインの1.1600台から1000ポイントの下落、つまり1.0600を目指すと仮定できました。
ところが、重要ポイントをブレイクしたにも関わらず、相場は1.1301まで下げたところから反転し上昇となりました。
この反転の原因は、重要ポイントのブレイクを見た多くのマーケット参加者が、1.1301をつけてからの戻りを売り上がったためです。そのためにマーケットがショートになり、後は段階的に買戻しと新規の売りが繰り返し出ることによって、上昇が継続しました。
特に、8月に相場にフロー(資金の流れ)を作る投資家が、夏休み時期でいなかったことも、反発を助長しました。
そして、11月の米中間選挙が終わって、8月の下落時も、かろうじて割らなかった1.1300をブレイクしようとする動きが活発になり、11月12日にはとうとうブレイクし、1.1216の安値をつけました。
この1.1300のブレイクによって、テクニカルで見ると、長期的には1.0400がターゲットになりました。
しかし、その後の展開は8月と同じく、下げ止まってから、マーケットの大勢が売りを確信し、売り上がったため、マーケットは下がるどころか延々と上がりだしました。途中には、我慢しきれなくなったショート筋のロスカット的な買い戻しも出たものの、新たに売ってくるマーケット参加者もいるため、結局、マーケット全体としてのショートは減らず、ジリ高を続けました。
このように、8月の例でも、11月の例でも言えることですが、つまり、テクニカルにブレイクしたから、「さあ売りだ」がなかなか通用しなくなっているのが、最近の相場です。
8月も11月も、長い下ヒゲを出し、下に突っ込んで押し返されていることがよく分かります。
それが、AIのせいかどうかは知りませんが、愚痴を言うよりも、どういう環境にも自分を適応させていくことが大事だと思います。
儲けることに、選り好みはできないと思います。自分から相場に合わせて行くことが大事です。
8月と11月の事例で、重要ポイントを切ったから売りなのに、それが通用しないと申し上げましたが、それではどうすれば良いのでしょうか。
それは、ひとつには、大きなトレンドが下げで変わりがないかを確認した上で、底を売るのではなく、大きく買い戻された後を売るということだと思います。売り上がるのではなく、反発もピークアウトして、下げ始めたところをうるということになります。
ただし、そう言っても、なかなかピークアウトしているかはわかりません。そこで、ひとつのアイデアを紹介しましょう。
基本的に、相場のトレンドは、一方向にフローを作る投資家によって作られるということは、既に申し上げました。ここで言う投資家とは、政府系ファンド、年金運用のペンションファンド、生保などの機関投資家、中央銀行などです。
そして、このことは、特にユーロ/ドルに言えることですが、ユーロ/ドルでよく見られる投資家のオペレーション(為替取引)は、戻り売りです。めったに、底を売ってくることはありません。そして、戻り売りは指値ではなく、成り行き売りでします。
なぜなら、指値にすると巨大な売りがあることを、マーケットに勘付かれてしまうためです。そこで、相場が売りたいレベルになると、モグラたたきのように売ってきます。そのため、相場が、ある水準で一進一退を繰り返します。
この相場が、大量の売りをこなすために、1時間も2時間も、ある一定水準で揉み合っている時は、投資家が出ていることを示す場合が多いと言えます。ですから、この揉み合いがある程度経ったところで、売りで入るというのが、良いのではないかと思います。
なぜなら、買い筋は長くはポジションが持てない投機筋ですので、長期にポジションを持つ投資家の売りには、かなわないからです。このように、投資家の戻り売りに乗るというのも一考だと思います。