11月6日の米中間選挙の大勢は、日本時間翌7日昼頃に判明し、上院は共和党、下院は民主党が多数派を占めました。事前予想の範囲内ということもあり、7日午前にいったん113.80近辺まで買い上げられていたドル/円は、材料出尽くしとばかりに112.95近辺まで反落し、ビッグイベントに関わる売り買いも終わったかに見えました。
しかし、その後、ニューヨークオープン前後から、ドル/円はジワリジワリと買いが強まり、その原因が何やらよくわかりませんでした。
そして、さらに米中間選挙の直前直後ではなく、もう少し長い目で見ると、10月30日からドル/円は上昇トレンドになっていることがわかりました。
つまり、米中間選挙が11月6日に控えた1週間前から、ドル/円は明らかに意図的に買われ始めていたということです。
普通、ビッグイベントが間近に迫れば、取引を手控えるものですが、ある種確信犯的にドル買いをしていた、あるいは未だにしている勢力がいるもようです。
確かに、ではなにを根拠に、買い始めているのか、いろいろと、探っていたところ、次のことが、わかってきました。
それは、ドル/円と相関関係にある米国債10年物利回りとニューヨークダウです。
つまり、10月末から、ドル/円が上昇したのと同時に、いったん下げていた米国債10年物利回りもニューヨークダウも、米中間選挙を直前に控えながら上昇し、さらに中間選挙を終えても、上昇基調にあるということです。
米国債10年物利回りが上昇するということは日米金利差が拡大するということであり、またニューヨークダウが上昇するということは米国の価値が上がるということになりますから、まさに1人勝ちのアメリカ買いということになります。
つまり、本邦機関投資家が、見切り発車的に米国債投資を増やしているということかと推測しました。
財務省が11月8日公表したデータによりますと、日本人投資家は9月に米国債を2兆2800億円相当買い越しました。
これは、2016年7月以来の高水準で、実際2017年前半にやや買い越しでしたが、それ以降ほぼ売り越しの状態が続いていたのが、この9月突然大きく買い越しています。
関係者によれば、9月の米利上げ後にドル/円が上昇するとの見方から投資家がヘッジなしでの米国債買いを増やしていたもようです。
つまり、9月26日のFOMCの利上げ以前から、本邦機関投資家は利上げを確実視して買ってきたということだと思います。
そして、今回米中間選挙目前で、米国の景気動向から言うと、選挙の勝敗のいかんに関わらず、12月にFRBはFOMCでさらに利上げを決定するだろうと見越して、ドルを買い、米国債を買ってきたということなのではないかと思われます。
さて、週足を見てみたいと思います。
先月、長い上ヒゲが出現したことで、いったんの天井確認をしたと見ました。
そして、確かに緩んだのですが、10月29日の週からまた上がり出してきており、先週末は、113.83で引けており、上ヒゲの出た10月1日の週の寄り付き、つまり週足の実体(ロウソク足の寄り付きと引け値の間の太い部分)の高値113.80を若干ながら上回っています。
左右に長い陽陰線を出し、真ん中に上ヒゲを長く出した格好は、強力な天井感を醸し出しますが、その上ヒゲの根元まで、再び実体の陽線が這い上がってきたということは、それだけ買いの圧力が強いことを示します。
実際、今年は値幅が狭いものの、3月以降ずっと上げて来ており、いったん夏場に緩んだものの、先ほどの機関投資家の買いを裏付けるかのように9月から上昇、そしていったん押して今回の上昇と、上げ足を速めてきました。
これから、まだまだ、114円台の抵抗、115円の心理的な抵抗とありますが、結局のところ、さらに118円方向に向かうのではないかと、現在、見ています。