10月4日に米国債10年物利回りは、前日の3.06%から3.18%まで急上昇しました。
ニューヨークダウはすぐには大きな反応になりませんでしたが、米中の貿易摩擦が懸念されたこともあって、翌週の10日、11日には、合わせて1376ドルもの急落を記録。これを受けて、為替相場はそれまでのドル買い相場からドル売り相場に転じています。
つまり、今までの相場の根本であったファンダメンタルズも良く金利差もあるアメリカを買う相場が揺らいでしまったのが、現状です。
中でも、主要通貨であるドル/円とユーロ/ドルが、今までのドル買い相場からドル売り相場に転じてきていることの意味は大きいと思います。
ドル/円は、10月4日の米国債10年物利回り急上昇の当日に下げに転じており、その後下落を続けてきています。
ユーロ/ドルについては、まずは10月4日にそれまでの下落(ドル高)が止まって横ばいとなり、そして、今週水曜日から上昇(ドル安)相場に転換してきています。
尚、株が反発した12日には、やや軟化しましたが、下げ切ることはできませんでした。
これから注目しておきたい点は、まず、ニューヨークダウなどの米株式市場です。
今回は、米10年債利回りが急上昇したことに対して、米株は身構えておらず、パニックとなりましたが、今後ニューヨークダウが環境変化にさらに抵抗力を持ってくるかが、一番の注目点です。
そして、FXの面で注意しておきたい点が、いくつかあります。
ひとつは、ドル/円の週足です。
9月24日の週に長い陽線、10月1日の週に長い上ヒゲ、10月8日の週に長い陰線となっていて、いわゆる、天井を確認した格好です。
しかも、その形状のスケールは大きく、図の上で、平行線を引いている昨年2017年部分と比較しますと、2017年では今回と同規模で114円台にぶつかって反落したことが何度かあり、その反動は、場合よっては108円を割るほどのこともありました。
だから今回もとまでは申し上げませんが、ここのところの長い上ヒゲを出して長い陰線を出していることは、頭の片隅に止めておいた方が良いように思います。
次に、ユーロ/ドルの日足です。
8月はトルコショックと米中貿易摩擦で、下に往って来いしましたが、8月15日の大底で、下ヒゲの長いたくり線が出ています。
そして、今回10月9日にたくり線が出ていて、しかも、規模が8月15日より大きいことに注目です。
8月のたくり線の後、ユーロ/ドルは一気に270ポイントぐらい上げています。
今回も同じぐらい上昇するとしても、1.1800近辺まで上がる可能性があります。
あと、もうひとつ変異として感じることは、今回の米株急落と反発において、これまでのリスク回避のドル買い円買い(リスクオフ)、リスクが回避されたとしてのドル売り円売り(リスクオン)で反応していないことです。
まず、株が急落した10月10日、11日は、ドル/円はドル売りから横這い・ユーロ/ドルは買い(ドル売り)とドル安で反応している一方、株がやや回復した12日は、ドル/円は結局横這い、ユーロ/ドルはユーロ売り(ドル買い)という状況です。
つまり、ユーロ/ドルについては、株に連動した動きをしていたのに対して、ドル/円は、株安時はユーロ/円の買いに連れて買い気、株回復時はユーロ円の売りに連れて売り気だったということで、従来のリスクオフ・リスクオンでは説明がつかない動きをしています。
このことから今後、リスクの発生・回避に関しての為替の反応の仕方が変わってくる可能性がありますので、注意深く見て行く必要があります。
いずれにしても、米中間選挙まで1カ月を切っていますので、ビッグプレーヤーは新規にポジションを作るよりも、手仕舞いの方を優先することで、こうした相場の変異が起きている可能性もあり、十分な警戒が必要です。