トレーディングをする上で、一日の中にも、いくつかの注意すべき時間帯がありますので、お話ししたいと思います。

注意すべき時間帯

日本時間の午前9時からの1時間は、多くの場合、当日午前6時(冬時間午前7時)までのニューヨークタイムの流れを汲んで、東京・アジア勢が思いの丈を振り絞ってくる時間帯です。ですので、多くの場合、この1時間の間に、ポジションが一方向に大きく偏ってしまいます。

それでも、東京タイムは、売りが強ければ強いまま、買いが強ければ強いままで、ロンドンタイムに、バトンタッチしようとします。これが、日本時間午後3時(冬時間午後4時)頃です。

しかし、ロンドン勢はそんなに甘くはなく、大方の場合、東京・アジア勢の期待に反して、東京タイムに出来たポジションの逆サイドを突いてきます。なぜなら、ロンドン勢はデイトレが中心で、しかも、東京・アジア勢を苦しめることによって、利益を出そうとします。

典型的な彼らのトレードが、ショート・スクイズ(ショート筋の炙り出し、買い上げ)で、東京・アジア勢がショートだと気づくと、東京・アジア勢が音を上げるまで、ひたすら買い上げます。

我慢していれば良いではないかと思われるでしょうが、ガンガンとめどなく買ってきますので、思わず恐怖に駆られて買い戻してしまいます。

しかし、この買い上げにも、実は終了時間があります。それは、日本時間午後8時(冬時間午後9時)前後です。なぜなら、ニューヨークがオープンするのが、午後9時(冬時間午後10時)ですので、その前には、必ず利食ってきます。

つまり、ロンドン勢は、二部制になっていて、午後3時から午後8時の東京タイム対応と午後9時から翌午前1時(冬時間午前2時)のニューヨークタイム対応にわかれており、アジアの稼ぎはアジアタイムで、ニューヨークの稼ぎはニューヨークタイムで稼ごうとします。

さて、ニューヨーク勢は、日本時間午後9時(冬時間午後10時)に入ってきて、オープン当初から攻めては来ますが、本格的な仕掛けタイムは、日本時間午後11時(冬時間午前零時)からです。

この時間から、一気に一方向への攻めが激しくなります。

そして、うまく波に乗れれば、ニューヨーク・クローズである日本時間午前6時(冬時間午前7時)まで、一方通行の相場になることも珍しくはありません。

もちろん、午前3時(冬時間午前4時)のFOMCの発表時は、乱高下しますので、この限りではありませんが、そうしたイベントやビッグニュースがなければ、一方向の相場になりやすいと言えます。

したがって、夜寝る前にポジションメイク(ポジションを作る)して、朝起きてプロフィットテイク(利食い)することも決して珍しいことではありません。ただし、絶対に儲かる保証はありませんので、その点はご了解ください。

こうした、一日のマーケットの流れの中で、今、自分はどこの時間帯にいるかによって、新規にポジションを持って良い時なのか、あるいは利食い時なのかを認識しておくことが大事です。

今回は、1日の中のスケジュールについてお話ししましたが、月間にも、また年間にも、同じように、その時々の傾向が見られます。

そうした傾向を知っているかどうかで、少なからず損益に影響が出ます。

特に、年間のスケジュールなど、ちゃんと記録しておかないと、やられてから、ああそう言えば去年もこの時期に同じようなことが起きたと気づき、悔しがることもあります。ですので、一日、一月、一年のタイムスケジュールは、十分頭に入れておくことが大事だということです。

水上紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。詳しくはこちら