3月1日、公約としていた通商問題の是正のために、トランプ大統領は鉄鋼とアルミニウムに輸入制限をかける方針を示しました。
これは自由貿易の下、衰退したアメリカの産業の再建を意図したもので、ある意味大統領としては正しい行動だと言えるかもしれません。
しかし、アメリカの旺盛な需要があってこその中国であり、EUであり、日本である以上、フーテンの寅さんの町工場の社長ではありませんが、「大変だ! 大変だ!」になっているものと思われます。
一方、トランプ大統領は米倉涼子の名文句のように「私、アメリカファーストしか致しません」と突っぱねているのが現状でしょう。
アメリカの工場の衰退ぶりはひどく、失業保険で食いつないでいる人が多くいます。
ただ、私もニューヨーク駐在の時にフォードを2台持っていましたが、3,000CCのトーラスも故障知らずで良く走りましたし、小さい方のエスコートのスポーツタイプのマニュアル車も、結構良かった印象です。
確かに工業製品を海外に売る売り方が相手のニーズを良く読まずに、「アメリカでござい」と高圧的にやったのはまずかったのかもしれませんが、やり様によっては、なんとでもなると思います。
アメリカには、新技術・新セールスがいくつもあります。アップル、マイクロソフト、そしてテスラに代表される電気自動車。また製造業でなくても、グーグル、アマゾン、SNS各社などがあり、世界でトップの技術やマネージメントがあります。
特にアメリカびいきではありませんが、確かに他国の企業にとっては、自社製品の消費地として、3億2,000万人弱の人口を擁するマーケットが自由貿易国であってほしいということはわかります。
「保護主義」というパンドラの箱を開いたトランプ大統領
歴代の大統領も、「Free Trade(自由貿易)」のFreeという看板を自らが下すことは、自由を旗印にしているアメリカだけに保護主義に対して強い抵抗感を持ったことでしょう。
こうして60年近く自由貿易を続け、その間に輸入品のFlood(洪水)のような流入が続き、価格的に競争力を失ってしまった地場産業は衰退していきました。
どこかでも、聞いたことのあるような話だとも思います。つまり、歴代の大統領が開くのを拒んだ「保護主義」というパンドラの箱を、トランプ大統領は開いてしまったわけです。
しかし、それによってアメリカを再生する可能性は高いのではないかと見ています。歴史の授業でならった排他的なモンロー主義の21世紀版とも言えます。それが出来るのも、原油も鉄鉱石も食料も自給できるからいうことだと思います。まだ、アメリカが世界一の産油国であることは、ご存知でしょうか。
日本は、原油は99.6%輸入、鉄鋼石もほぼ100%輸入でしょうし、食糧自給率は、カロリーベース総合食料自給率で39%(2014年度)、生産額ベース総合食料自給率では64%となっています。
こんな国が、また戦争に巻き込まれたどうなるのでしょうか。「欲しがりません、勝つまでは」は、今の日本人には、不可能だと思います。だから、強腰外交が出来ないのが、日本です。
ちょっと為替から外れましたので、為替に戻って言えば、ドル/円は、いったんのリバース(戻り)はあるかもしれません。しかし、やはりトランプ大統領に対する不安は、今回の鉄鋼・アルミニウムの輸入制限によりさらに深まり、特にドル/円ではドル売りが強まるものと思います。
お金は臆病なものです。投資家が不安と思ったら、ユーロや円に資金が逃避することは至極当たり前のことだと思います。
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