北朝鮮は先週末、水爆実験を実施しました。先日はICBM(大陸間弾道弾)打ち上げのためのロケット発射実験、そして今度はICBMに搭載する爆弾の実験と、米国と同等のステージに上がろうと躍起になっています。
しかし、この暴走に周辺国のみならず、各国から異様な目で見られていることはまず間違いはないと考えられます。またこの異常さを見ても、アメリカを交渉のテーブルにつかせるのは逆効果ではないかと思われます。
意図的に流される情報
北朝鮮のような情報統制している国では、政府当局は国民に対して都合の良いニュースだけを流していることは、言うまでもありません。しかしこれだけ情報過多の日本でも、情報はある意味意図的に流されていることを6月に中国に行った時に感じました。中国内でいろいろ見聞きして帰国後、中国に関するニュースに対する日本のマスコミの扱い方に雛形があることに気づきました。
たとえば「中国も景気後退している」というものは、日本では定番の報道です。ところが、北京・上海などの現地に行ってみると、活気がある上に治安が良いことを感じました。景気も下がったとはいえ6%成長をしているわけで、特に北京は活気に満ちていることを感じました。
しかし帰国後見るニュースでは、景気後退を繰り返しており、どうも事実との違いを感じました。
為替の世界でも情報のねじれは存在する
為替相場の世界でも、こうした情報のねじれを感じることがあります。
ちょっと古い話ですが、ニューヨークに駐在していた頃、円高容認の可能性が注目されたG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)が注目されました。東京ではマスコミもこのG7について煽り、多くのトレーダーもドルショートを持ったまま、週末のG7を待ちました。
土曜の会議の後の日曜日、G7ではどんなことが決まったのかを確認しようと、新聞スタンドでニューヨーク・タイムズ、ウォーストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストなど買って帰り、一紙づつ見て行きました。ところが、3紙とも、一行たりともG7のことは語られていませんでした。
アメリカの当時のG7に対する姿勢はそんなものだったということですが、日本側は青天の霹靂となり、翌月曜日は本邦勢の損切りの買い戻しが集中しました。
つまり、東京は、「金魚鉢の嵐」になることが多いと言えます。やはり島国で情報がまさに狭い金魚鉢の中でぐるぐる回っているうちに、どんどん盛り上がり、外から見ると異様な熱気に包まれることがあります。したがって、意識して冷静でいる必要があります。
日本という国は本当に平和な国で、過去70年あまり戦争を経験していません。それはとても良い事ではありますが、ともすれば、平和ボケしがちです。しかし北朝鮮という国があり、また今はおとなしいけれど、中国という国も近隣にあります。
私は決して国粋主義者ではありませんが、やはり「国を守るのが自衛隊の仕事」のような他人事ではなく、国民一人一人が自ら国を守るという意識は持つべきなのではないかと思います。緊張が高まっているからこそ、そうした気持ちが強くなっているのかもしれませんが、大事なことではないかと思われます。
しかし、それ以前に自分にとって国とは何かを考えてみることが大事だと思います。帰国するたびにいつも感じることは、優しく包み込んでくれる日本の空気です。これは、海外では味わえません。
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執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)
バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。