ストレスや不規則な生活などをきっかけに、司令塔である自律神経の働きが乱れると、身体に不具合が生じ、ときに不調となって現れます。そんな時こそ、耳マッサージ。ダイエットや小顔効果も期待できますよ。
季節の変わり目は耳をもんで乗り切る!
耳マッサージや耳ツボダイエットなどが知られている通り、耳はツボがたくさん集まる健康の要所。医学的には立証されてはいませんが、効果は期待できます。
耳鼻咽喉科医でシンガーの木村至信氏(以下、キムシノ氏)に話を聞きました。
――耳マッサージがいいらしいと聞き知っているのですが、具体的な方法が分かりません!
キムシノ氏: 耳のマッサージの前には、リンパのマッサージを行います。耳と顔の境目を上から下へ、次に耳の後ろから耳たぶの下に向けて、と2方向にV字を書くようにマッサージします。さらに、そのまま鎖骨まで流すように手を動かすとより効果的です。
強くこするのではなく、優しくなでれば十分です。乳液やクリームをつけて行うと滑りが良くなります。また、口をアグアグと開閉することで、リンパ節の周りの筋肉に圧がかかり、老廃物が流れやすくなります。やり過ぎると顎に負荷がかかるので、5回ほど軽く開ける程度にしましょう。
ここから、耳のマッサージです。まず、耳全体を手でくるみ、クルクル動かします。次に、耳の皮膚を指でつまみながら、上、下、斜め上、斜め下、横と、それぞれの方向に3回軽く引っ張ります。これを3セット。その後、耳たぶを親指と人差し指ではさみ、軽く押し刺激を与えます。最後に、耳を鼻の方向に向かって倒すようにします。
――意外と簡単ですね。道具もいらず、すぐにできそうです。
キムシノ氏: 私がやっているのはこれだけですが、十分に血流改善、自律神経の安定が望めます。1日の中で3セットできれば理想的です。ポイントは、あまり強い力でやりすぎない、痛いところは避ける。これだけです。ツボ押し用の石など使う場合は、何かの拍子に耳や鼓膜を傷つける例があるので、気を付けてください。
あとは、耳の皮膚は意外と冷えているので、温かい手や指で刺激を与えながら温めてあげることもマッサージ効果の一つとなりますので、耳を手で包むだけでも効果があります。浴槽に浸かりながらのマッサージも効果的です。
自律神経安定やダイエット、小顔にも!
さて、具体的にはどんな効果があるのでしょうか。説明してもらいました。
――耳は、自律神経と密接な関係にあると聞きます。どういうことか説明していただけますか?
キムシノ氏: 自律神経は、体温調節・消化・血液循環などの生きるペースをコントロールする、言わば体の司令塔です。自律神経が乱れると、頭痛・不眠・倦怠感などの不調を引き起こすこともあります。ちなみに、季節の変わり目に不調が現れる「気象病」も、気圧の変化というストレスへの過剰反応が引き金となり、自律神経が乱れることが原因と考えられています。
そこで、耳マッサージです。血流が良くなり、自律神経のうち、体をリラックスさせる役割を担う副交感神経の働きが高まり、気持ちも和らぎます。
太りやすい秋、冬はダイエットの味方に!?
コロナ禍にあって、ストレスを溜めている人は少なくないでしょう。ストレスから過食に走るケースもありそうです。ここでも、耳マッサージが頼りになります。
――ダイエットや美容を目的とした耳マッサージ法を教えてください。
キムシノ氏: 人はストレスを感じているときに、甘いものを食べるとホッとします。これは脳が即効性のある栄養素「ブドウ糖」を欲しているから。でも、3度の食事以外の糖分摂取は無駄な間食です。ヤケ食いしそう! と思ったら耳マッサージで乗り切りましょう。「腸の働きを良くする」といった効果も期待できます。
それから、耳の周囲にはリンパ節が集まっています。ここが詰まると顔に老廃物が溜まって、むくみ、たるみが起こることに。耳をマッサージすることにより、むくみが消えてフェースラインがシュッと引き締まり、透明感アップの効果が期待できます。足裏マッサージと違って、自分でできて場所を選ばない優良な健康法である耳マッサージ。
「耳マッサージをすると落ち着く」というパターンができれば、悪習慣や気分の不調をリセットするきっかけにもなります。
取材協力:木村至信(きむら・しのぶ)
横浜市の馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長・産業医・医学博士。テレビやラジオのレギュラー番組を持つタレントでもあり、「木村至信BAND」でメジャーデビューする女医シンガーの一面も。