前回の連載記事で、ANAはスターアライアンス、JALはワンワールドという航空連合(アライアンス)に加盟しており、アライアンス加盟航空会社内であれば、基本的にマイル積算・特典利用が可能であることについて触れた。しかし、自社が加盟しているアライアンス内航空会社以外にも、独自に提携している航空会社もある。

  • スカイチーム加盟の航空会社でも、ANA・JALのマイルを特典航空券に交換できる会社はある

    スカイチーム加盟の航空会社でも、ANA・JALのマイルを特典航空券に交換できる会社はある

実際、ANA・JAL共にアライアンスだけでカバーできないエリアに就航している航空会社との提携は多い。最近では両社共に、日本の航空会社の加盟がないアライアンス「スカイチーム」に加盟している航空会社とのマイレージ提携にも積極的である。ただ、アライアンス以外の提携航空会社においてはルールが細かく、提携航空会社ごとに条件も異なる。そこで今回は、ANA・JALで貯めたマイルをアライアンス加盟航空会社以外の特典航空券に交換できる航空会社についてまとめてみた。

ANAのマイルでエティハドやベトナム航空も

まずはANAマイレージクラブ。ANAのマイレージで貯めたマイルで、特典航空券に交換できるアライアンス外の航空会社は以下となっている。

ANAマイレージクラブ 特典航空券が利用できるアライアンス外の航空会社
日本乗り入れ航空会社:
マカオ航空、エティハド航空、ガルーダ・インドネシア航空(スカイチーム加盟)、フィリピン航空、ベトナム航空(スカイチーム加盟)、バニラエア

日本未就航航空会社:
エアドロミティ、ユーロウイングス、ジャーマンウイングス、ジェットエアウェイズ、ヴァージンアトランティック航空

  • スカイチーム加盟のベトナム航空でも、ANAのマイルで交換可能。ANAが直行便を就航していないダナンへはぜひ特典航空券で

    スカイチーム加盟のベトナム航空でも、ANAのマイルで交換可能。ANAが直行便を就航していないダナンへはぜひ特典航空券で

ANAが加盟しているスターアライアンスに28社が加盟していることもあり、基本的にはアライアンス内でほとんどのエリアをカバーできる。それをのぞいても、日本路線関連ではマカオへの直行便を運航するマカオ航空、UAEのアブダビを拠点とするエティハド航空(成田=アブダビ、中部=北京=アブダビ線のみが対象)、また、アジア路線ではANAと重複する路線もあるガルーダ・インドネシア航空、フィリピン航空、ベトナム航空などがある。

ガルーダ・インドネシア航空ではバリ島(エコノミークラス3万5,000マイル、ビジネスクラス6万マイル)、フィリピン航空の場合はセブ島(エコノミークラス2万マイル、ビジネスクラス4万マイル)、ベトナム航空ではダナン(エコノミークラス3万5,000マイル、ビジネスクラス6万マイル)などといった、ANAが直行便を就航していない場所への直行便にマイルを活用するメリットは大きいと言えるだろう。

JALのマイルはエミレーツに注目

次に、JALマイレージバンク。JALのマイレージで貯めたマイルで、特典航空券に交換できるアライアンス外の航空会社は以下となっている。

JALマイレージバンク 特典航空券が利用できるアライアンス外の航空会社
日本乗り入れ航空会社:
エールフランス航空(スカイチーム)、エミレーツ航空、大韓航空(スカイチーム)、中国東方航空(スカイチーム)、ジェットスター・ジャパン

日本未就航航空会社:
バンコクエアウェイズ、アラスカ航空

  • JALが独自に提携しているエミレーツ航空とは、全クラスで特典航空券利用が可能

    JALが独自に提携しているエミレーツ航空とは、全クラスで特典航空券利用が可能

JALが加盟するワンワールドは13社しかないが、アライアンス未加盟の提携航空会社を上手に活用することで、特典航空券を旅の幅が大きく広がる。その中でもあまり知られていないのが、エミレーツ航空の特典航空券。憧れの航空会社として知られているが、自社でネットワークを強化していることもあり、どのアライアンスにも属していないが、JALと独自に提携している。マイル積算も可能だが、エコノミークラスの割引運賃は積算不可になっていることもあり、認知度が低い。

ただ、特典航空券利用であれば全クラスが対象で、羽田・成田=ドバイのエコノミークラスは往復4万マイル、ビジネスクラスは往復6万5,000マイル、ファーストクラスは往復10万5,000マイルとなっている。ドバイ単純往復以外にも必要マイル数はアップするが、ドバイ経由ヨーロッパ行きの特典航空券も設定されている(ビジネスクラスで10万マイル)。中東についてはワンワールドに加盟しているカタール航空もあるので、両社の混在ルートはできないが、サービスに定評のある2社が使える点は大きい。

エールフランスや大韓航空もJALのマイルで

また、JALのマイルはスカイチームに加盟しているエールフランス航空や大韓航空の特典航空券にも交換可能で、パリまで往復エコノミークラス5万5,000マイル、ビジネスクラス8万5,000マイルとなっている。

特に、大韓航空は日本=韓国線のみが特典航空券の対象で、大韓航空が乗り入れている地方空港からソウルへ直行で行きたい時などには重宝する。一部の短距離路線を除いて、往復エコノミークラス2万マイル、ビジネスクラス3万5,000マイルとなる。成田からJALが直行便を就航していないチェジュ(済州)島へ行く際にも、マイルを活用することが可能だ。

  • 大韓航空は日本=韓国線のみが特典航空券の対象となる

    大韓航空は日本=韓国線のみが特典航空券の対象となる

また、上記のリストには入っていないが、期間限定のキャンペーンでJALのマイルが使えるというケースもある。コードシェア便提携を行っているタヒチ・パペーテへの直行便を運航している、エア タヒチ ヌイの成田=パペーテ線がそれだ。ただし、10月27日までの期間限定かつ、エコノミークラス限定で、往復4万8,000マイルでの特典交換となる。

今後の注目はハワイアン航空。3月末からコードシェア便やマイル積算の提携を開始したばかりで、現時点では特典航空券への交換はできないが、将来的に特典航空券の交換が可能になる予定だ。実現すれば、羽田からのホノルル便、コナ便が特典航空券の対象便となる。

  • ハワイアン航空は将来的に特典航空券の交換が可能になる予定だ

    ハワイアン航空は将来的に特典航空券の交換が可能になる予定だ

特にリゾート路線は、JALマイルを使って提携航空会社を上手に活用することができそうだ。次回は、ANA・JALそれぞれのマイルでLCC便の特典航空券に交換することのメリットについて取り上げる。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

筆者プロフィール: 鳥海高太朗

1978年千葉県生まれ。帝京大学経済学部地域経済学科非常勤講師。また航空・旅行アナリストとして、航空会社のマーケティング戦略を主研究に、自らも国内外を様々な航空会社を利用しながら体験談を中心に各種雑誌・経済誌などで執筆しているほか、テレビ・ラジオなどにも出演するなどメディアを中心に情報発信をしている。著書に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社新書)などがある。