どの航空会社のマイレージプログラムでマイルを貯めるのがベストなのか? という質問を受けることが多い。出張でいつも使っている航空会社であったり、自分が好きな航空会社で旅行でも積極的に利用するのであれば、その航空会社のマイレージプログラムを使うのがいいだろうが、特にこだわりがないのであれば、貯まったマイルをどのように使いたいか? ということを考えて、メインとなるマイレージカードを決めるといいだろう。

  • 貯まったマイルをどのように使いたいかをイメージした上で、どうやってマイルを貯めるかを考えてみるといいだろう

    貯まったマイルをどのように使いたいかをイメージした上で、どうやってマイルを貯めるかを考えてみるといいだろう

そこで今回は、ANAとJAL、それぞれの国内線・国際線特典航空券の主なルールをまとめてみた。両社で一部ルールが異なるのだ。

JALはクラスJも対象、ANAはシーズンで変動あり

国内線・国際線共通のANAとJALの大きな違いは、JALは年間を通じて同じマイル数に設定しているのに対し、ANAは閑散期は「ローシーズン」、繁忙期は「ハイシーズン」、それ以外は「レギュラーシーズン」に分類されている。ただ、JALも閑散期を中心にディスカウントマイルとして必要マイル数を引き下げているほか、クレジットカードであるJALカード会員向けにマイルを割り引くキャンペーンを実施している。

国内線については以下にまとめてみたが、ANAは普通席のみが対象であるのに対し、JALは普通席とクラスJの両クラスが対象となる(国内線ファーストクラスは対象外)。両社とも、国内線は搭乗日4日前までの申し込みとなるが、ANAは2018年10月28日搭乗日以降から前日までの特典予約が可能となる。

加えて、有効期限もJALはすでに1年間であるが、ANAは現時点では90日であり、10月28日搭乗分以降は1年間となる。必要マイル数については、一部区間・搭乗日によってANAとJALで異なることもある。

  • ANAは2018年10月28日に、国内線特典航空券のルールが変わる

    ANAは2018年10月28日に、国内線特典航空券のルールが変わる

国内線特典航空券

●ANAマイレージクラブ(ただし10月28日搭乗分よりルールを大幅に変更予定)
予約可能期間: 搭乗日2カ月前の9時30分~搭乗日4日前まで
有効期限: 発行日および発行日翌日から起算して90日間
利用クラス: 普通席
区間: ANA便名の日本国内線全路線
片道利用: 可能(往復の半分のマイル数)
最低必要マイル数: 片道5,000マイル(ローシーズン期間で片道300マイル以下)
主な区間(レギュラーシーズン)の必要マイル数(往復): 羽田~伊丹1万2,000マイル、羽田~新千歳1万5,000マイル、羽田~福岡1万5,000マイル、羽田~那覇1万8,000マイル、羽田~石垣2万マイル
その他: 閑散期はローシーズン、繁忙期はハイシーズンとして必要マイル数が上下する

●JALマイレージバンク
予約可能期間: 搭乗日2カ月前の9時30分~搭乗日4日前まで
有効期限: 発行日および発行日の翌日から数えて1年間
利用クラス: 普通席、クラスJ
区間: JALグループ航空会社便の日本国内線全路線
片道利用: 可能(往復の半分のマイル数)
最低必要マイル数: 片道6,000マイル(短距離区間)※ディスカウントマイル時は5,000マイル
主な区間の必要マイル数: 羽田~伊丹1万2,000マイル、羽田~新千歳1万5,000マイル、羽田~福岡1万5,000マイル、羽田~那覇1万5,000マイル、羽田~石垣2万マイル
その他: 閑散期を中心にディスカウントマイルやJALカード割引で通常時より少ないマイルで利用できる

片道利用ならJAL、ビジネスクラスならANAに分があり!?

国際線特典航空券については、国内線と比べて両社のルールが異なる部分が多い。JALでは往復だけでなく、片道でも往復の半分の必要マイル数で特典航空券への交換が可能であるのに対し、ANAでは往復利用のみであり、片道のみの特典航空券の設定はない。また、ANAはプレミアムエコノミーは特典航空券の対象外になっているが、JALではプレミアムエコノミーも特典航空券で予約することが可能になっている。

さらに、JALでは第一区間出発の24時間前まで電話予約に限って特典予約ができる。必要マイル数については、エコノミークラスにおいては同じ区間が多いが、ビジネスクラスではANAの方が必要マイル数が少ない。ただ、曜日限定特典を利用できれば、JALもANAに近いマイル数でビジネスクラスが利用できる。

  • 往復・片道、使えるクラス、マイル数など、国際線特典航空券はさらにルールが異なっている

    往復・片道、使えるクラス、マイル数など、国際線特典航空券はさらにルールが異なっている

国際線特典航空券

●ANAマイレージクラブ
予約可能期間: 搭乗の355日前(出発日含まず)の9時(日本時間)から第一区間出発の96時間前まで
有効期限: 旅行開始日から1年間(発券から1年以内に旅行を開始することが必要)
利用クラス: エコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラス
区間: ANAグループ便の国際線
片道利用: 不可
最低必要マイル数: 往復1万2,000マイル(ローシーズン期間の羽田~ソウル線)
主な区間(レギュラーシーズン)の必要マイル数(エコノミークラス往復): 日本~ソウル1万5,000マイル、日本~香港2万マイル、日本~ホノルル4万マイル、日本~ニューヨーク5万マイル、日本~ロンドン5万5,000マイル
主な区間(レギュラーシーズン)の必要マイル数(ビジネスクラス往復): 日本~ソウル3万マイル、日本~香港4万マイル、日本~ホノルル6万5,000マイル、日本~ニューヨーク8万5,000マイル、日本~ロンドン9万マイル

●JALマイレージバンク
予約可能期間: 搭乗日の前日から数えて330日前の10時(日本時間)から第一区間出発の24時間前まで(ホームページでは第一区間出発の前日から数えて4日前12時まで※出発時間)
有効期限: 旅行開始日から1年間(発券から1年以内に旅行を開始することが必要)
利用クラス: エコノミークラス、プレミアムエコノミー、ビジネスクラス、ファーストクラス
区間: JAL国際線
片道利用: 可能(往復の半分のマイル数)
最低必要マイル数: 片道7,500マイル(日本~韓国線)
主な区間(レギュラーシーズン)の必要マイル数(エコノミークラス往復): 日本~ソウル1万5000マイル、日本~香港2万マイル、日本~ホノルル4万マイル、日本~ニューヨーク5万マイル、日本~ロンドン5万5,000マイル
主な区間(レギュラーシーズン)の必要マイル数(ビジネスクラス往復): 日本~ソウル3万6,000マイル、日本~香港4万8,000マイル、日本~ホノルル8万マイル、日本~ニューヨーク10万マイル、日本~ロンドン11万マイル※ただし、日本発が火・水・木・金曜日、海外発が月・火・水・木曜日においては繁忙期を除き、曜日限定特典で少ないマイル数でビジネスクラスの利用が可能

  • JALはプレミアムエコノミーも国際線特典航空券の対象となっている

    JALはプレミアムエコノミーも国際線特典航空券の対象となっている

この他に提携航空会社での特典利用もできるが、アライアンス(航空連合)とともに次回の記事で取りあげる。貯めたマイルをどのように使いたいかによって、どちらのプログラムがベストであるのか考えてみてはいかがだろうか。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

筆者プロフィール: 鳥海高太朗

1978年千葉県生まれ。帝京大学経済学部地域経済学科非常勤講師。また航空・旅行アナリストとして、航空会社のマーケティング戦略を主研究に、自らも国内外を様々な航空会社を利用しながら体験談を中心に各種雑誌・経済誌などで執筆しているほか、テレビ・ラジオなどにも出演するなどメディアを中心に情報発信をしている。著書に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社新書)などがある。