「来週からジムに通うぞ!」
↓
(やっぱりウェアをちゃんとそろえてから)
↓
「来週こそ!」
↓
(やっぱり少し家で筋トレしてみてから)
↓
「来週こそ……」
やろうと決めたことがあっても、実際に動き出すまで時間がかかる。そんな自分がイヤになることってありますよね。
仕事も趣味もフットワークが軽い人や、どんなことにでも躊躇なく飛び込んでいけるアクティブな人を見ると、自分はそういうタイプじゃないと分かっていても相手のほうが優れていると感じてしまう。
あまりにも慎重だと、頭でっかちだとか、口ばかりだとか、ネガティブな評価をされることもある。
完璧を求めるのは悪いことではないけれど……
行動力がない人によくある心のクセは、「完璧主義ノイズ」です。このノイズは、ミスが許されない環境で育つとつくられます。過去にこんなことを言われた記憶はありませんか?
「明日のテストは、100点とろうね」
「あんなところでミスするから勝てないんだよ」
「昨日教えたのに、もう忘れたの?」
なかなか厳しいですよね。でも、完璧主義のお父さんやお母さんだとしたら、子どもを正しく導いているつもりだし、いたって普通のしつけです。
そんな環境で育つと、「完璧でないと生きていけないんだ」と子どもは思ってしまいます。そして、そのしつけが厳しければ厳しいほど、徹底的に自分に甘えを許さない人間に育つのです。
もちろん、自分に厳しいことは悪いことではありません。大切なのは、時と場合と使い方。厳しくしたほうがいいときは厳しく、緩めたほうがいいときは緩めるのがコツ。なのに、それがブレーキになってあなたを苦しめてはいないでしょうか。
世の中に「完璧なもの」はありません。 どんなに素晴らしい作品も商品も料理もサービスも、子育ても。すべて「その時点で」という但し書きが付きます。
あなたにとっての完璧は、誰かにとっての未完成かもしれません。 誰かにとっての完璧が、あなたにとっての全然かもしれないのです。
ないものを突き詰めているのだから、行き過ぎたら苦しくなって当たり前。完璧ではなく「今のベスト」を目指す」ように心の目線をシフトしましょう。
「裏表思考法」でスッキリ
なんで自分はこんなに優柔不断でダメなんだ。そう自分責めをしてしまう人にオススメなのは「裏表思考法」。これは自分の心の奥にあるノイズに気がつくためのワークです。
どんな物事にも必ず裏と表、つまりメリットとデメリット、良いことと悪いことがあると思いましょう。
例えばダイエットがどうしてもうまくいかない人ならば、
・痩せたほうが得すること(痩せないと損すること)
・痩せないほうが得すること(痩せると損すること)
の両方があるのです。
頭では「痩せたら洋服が似合うしモテる」と思ってダイエットにトライしたとしても、実は心では「痩せないほうが気が楽だし、おいしいものを食べられる」なんて思っている可能性があります。
こうして頭と心があべこべになっているとき、行動にブレーキがかかったり、うまくいかなかったりするのです。
もしあなたが何かにつまずいているのだとしたら、裏表思考法で真逆のメリットがないか、書き出してみてください。どうして自分ができないのか客観視できて、やみくもに自分を責めることもなくなってスッキリしますよ。
そして「実は痩せないほうがいい」みたいな真逆のメリットが見つかったとなら、そっちを選んでしまうこともアリ。諦めることも一つの前進。あなたが選んだ答えがあなたにとっての正解です。
著者プロフィール:山根洋士(やまね・ひろし)
心理カウンセラー
心理学に、ノンフィクションライターとして活躍したインタビュー経験や脳科学などを取り入れて「メンタルノイズ」メソッドを開発し、8,000人以上の悩みを解決。著書に『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム) など。